改訂新版 世界大百科事典 「情報産業用紙」の意味・わかりやすい解説
情報産業用紙 (じょうほうさんぎょうようし)
情報の入出力媒体として用いる紙の総称で,情報機器の要求に応じて開発された特殊紙,加工紙が多い。新しい分野であるので分類法は確立していないが,大別してコンピューター用紙,複写用紙,記録用紙に分けられる。コンピューターの入力用として統計カード,さん孔テープが用いられていたが,最近はキーボードからの直接入力がふえている。OCR(光学文字読取)紙,OMR(光学マーク読取)紙,BCR(バーコード読取)紙は,原票から直接入力できるので集金伝票などの分野で使用が伸びている。出力を保存する方法はフロッピーディスクなど紙を使用しない方式に代わりつつあるが,出力をプリントする紙としてフォーム用紙(出力用連続伝票)があり,一部には複写用紙も用いられている。フォーム紙はコンピューター用帳票で,けい線を入れたり,送り孔加工やジグザグ折りをしたりしてある。複写用紙の主流は,加工していない普通紙(プレーンペーパー)に印刷するのでPPC(plain paper copy)用紙といわれるものである。これは感光体ドラム上に形成した静電気潜像を紙に転写させる方式に用いる紙で,画像品質の高いことや操作の簡便さから,使用量は電子写真紙(湿式電子写真複写紙)など他の複写用紙をしのいでいる。ノーカーボン紙は感圧複写紙の代表で,裏面にカーボンを塗ったカーボン紙とは異なり,複写用紙としての需要は急増している。記録用紙としては,ファクシミリの普及につれて静電記録紙が高速用,感熱記録紙が低・中速用ファクシミリの用紙に用いられている。これらはコンピューターの出力記録としての用途をもつことは当然である。また,磁性体を分散させた支持体を塗布した磁気記録紙もさまざまな用途に用いられている。
執筆者:臼田 誠人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報