慢性前立腺炎(読み)まんせいぜんりつせんえん(英語表記)Chronic Prostatitis

家庭医学館 「慢性前立腺炎」の解説

まんせいぜんりつせんえん【慢性前立腺炎 Chronic Prostatitis】

[どんな病気か]
 前立腺炎症が慢性的に続いている状態で、全男性の25~50%が、一生に一度は前立腺炎の症状を経験するといわれています。慢性細菌性前立腺炎、非細菌性前立腺炎、前立腺痛の3つのタイプに分類できます。
[症状]
 会陰部(えいんぶ)や下腹部(かふくぶ)、陰嚢(いんのう)などに鈍痛や不快感を感じます。頻尿(ひんにょう)(排尿の回数が多い)、排尿痛(排尿時に痛みがある)、残尿感(ざんにょうかん)(尿が出きっていない感じ)などもみられます。また、射精の前後に痛みを感じることもあります。
[検査と診断]
 直腸に指を入れて前立腺を圧迫すると痛みを感じます。前立腺マッサージ(コラム「前立腺マッサージの効果」)によって前立腺の分泌液(ぶんぴつえき)をしぼり出し、分泌液の中に白血球(はっけっきゅう)と菌の両方があれば慢性細菌性前立腺炎、白血球だけがあれば非細菌性前立腺炎、両方ともみられなければ前立腺痛と診断されます。
[治療]
 まず、なるべく大量の水分をとるように努力します。これには、前立腺の病変部を洗い流す効果があります。
 また、便秘は前立腺炎症状を悪化させるので、腸の調子を整えることもたいせつです。
 前立腺のマッサージを行ない、内部にたまっている膿性分泌物(のうせいぶんぴつぶつ)を排出させます。射精にも同じ効果があるので、週1~2回の射精をするように勧める医師もいます。
 慢性細菌性前立腺炎なら、4~12週間ほどは抗菌薬を内服します。非細菌性前立腺炎の場合も、細菌が外へ出てこないだけの潜在性の細菌感染の可能性もあるので、4~8週間は抗菌薬を内服します。
 前立腺痛は、職場でのトラブルなど心理的・精神的な問題が背景にあっておこることが多いので、なかなか治りにくいものです。場合によっては、心療内科神経科受診が必要なこともあります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android