精選版 日本国語大辞典 「成ない」の意味・読み・例文・類語
なら【成】 ない
- ① ( 多く、動詞連用形に助詞「て(は)」の付いたものを受けて ) 禁止されるべきこと、許容されないことを表わす。(…しては)いけない。
- [初出の実例]「べらぼうづらをしてはならないぞ」(出典:雑兵物語(1683頃)下)
- ② ( 「なくては」「なければ」「ねば」など、打消の意の条件句を受けて ) 不履行が許されない意を表わす。
- ③ ( 多く自発の意の動詞・助動詞および感情を表わす形容詞に「て」の付いたもの、また形容動詞の連用形に付いて ) その心的・肉体的状態が、自ら押さえられないほどであることを表わす。…でがまんができない。…でしかたがない。むやみに…だ。
- [初出の実例]「夜がな夜一夜(よっぴてへ)騒々しくてならねへよ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二)
成ないの補助注記
( 1 )動詞「なる」には、もと、成立する、できる、許される(差し支えない)などの意がある。
( 2 )「なる」を打ち消した言い方として、「ない」系列の「ならない」(「ならねえ」)のほか、「ぬ」系列の「ならぬ」「ならん」がある。①の禁止の「て(は)ならない」については、決意の表現として「てはならじ」、反語的表現として「てなるものか」などがある。また、①②の「ならない」は、「いけない」「いかない」などに代えられる。
( 3 )丁寧な表現の場合は「なりません(なりませぬ)」となる。