改訂新版 世界大百科事典 「我が家の楽園」の意味・わかりやすい解説
我が家の楽園 (わがやのらくえん)
You Can't Take It with You
1938年製作のアメリカ映画。《或る夜の出来事》(1934),《オペラ・ハット》(1936)につづいてアカデミー賞(作品賞,監督賞)を受賞したフランク・キャプラの製作・監督作品。ブロードウェーでヒットしていたジョージ・S.カウフマンとモス・ハート共作のピュリッツァー賞受賞作(1936)を,コロムビア映画のハリー・コーンがルイス・B.メイヤーに一歩先んじて,当時としては破格の20万ドルで映画化権を手に入れ,キャプラ自身と30年代に名コンビであったロバート・リスキンRobert Riskin(1897-1955)の共同脚色で映画化したもの。ジェームズ・スチュアート,ジーン・アーサー主演。ニューヨークを舞台に,土地の買収をめぐって,ひたすら夢に生きる一家と現実に生きる富豪の一家が対立,〈現実〉が〈夢〉に敗れるという〈愉快〉な結末によって,法律や事業に縛られたアメリカ社会の矛盾を批判した風刺的喜劇であり,アメリカ的理想主義とヒューマニズムの一つの典型を示している。
執筆者:柏倉 昌美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報