戦傷病者手帳(読み)せんしょうびょうしゃてちょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「戦傷病者手帳」の意味・わかりやすい解説

戦傷病者手帳
せんしょうびょうしゃてちょう

戦傷病者特別援護法」(昭和38年法律第168号)に定められた戦傷病者であることの証票。軍人軍属準軍属であった者で、公務上の負傷疾病により一定程度以上の障害のある者、もしくは療養の必要があると厚生労働大臣に認定された者に対し、請求に基づいて都道府県知事が交付する。なお、障害がなくなったときや、療養の必要がなくなったとき、日本国籍を失ったときなどには、手帳を返還する必要がある。おもな援護の内容は以下のとおりである(支給額は2012年時点のもの)。

(1)療養の給付
指定医療機関における治療など、公務上の傷病に対して必要な療養給付

(2)療養手当の支給
1年以上の長期入院者で、傷病恩給などの年金を受けていない人に対し、月額3万0300円が支給される。

(3)葬祭費の支給
療養の給付を受けている人が死亡した場合、その遺族に対し、20万6000円が支給される。

(4)補装具の支給と修理
一定程度以上の障害を有する人に、義手や義足、およびその修理費が支給される。

(5)JR無賃乗車船の取扱い
障害の程度に応じ、一定回数のJR乗車船を無賃扱いとする。

(6)戦傷病者相談員の設置
戦傷病者の更生就職、その他生活の問題に関する相談に応じ、助言指導を行う。

 2013(平成25)年度末時点の戦傷病者手帳交付台帳登載数は全国で1万4385人。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の戦傷病者手帳の言及

【戦争犠牲者援護】より

…本法は,前述の戦傷病者戦没者遺族等援護法や未帰還者留守家族等援護法(1953公布)などにより戦後行われてきた戦傷病者の援護のための諸法令における医療保障部分を統合したものである。この法律による医療保障については,軍人,軍属または準軍属が公務上の傷病によって一定程度の障害(恩給法別表所定)を有する場合および公務上の傷病により療養の必要があると認定された場合には,戦傷病者手帳が交付され,以下の7種類の医療などの給付が与えられる。それは,(1)療養の給付,(2)療養手当,(3)葬祭料,(4)更生医療,(5)補装具の支給・修理,(6)国立保養所への収容,(7)日本国有鉄道(現JR)への無賃乗車であり,これらの援護は全額国庫負担で行われている。…

※「戦傷病者手帳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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