打身(読み)ウチミ

デジタル大辞泉 「打身」の意味・読み・例文・類語

うち‐み【打(ち)身】

身体を強く打って、皮下組織に起こる傷。打撲傷
刺身
すずきなりとも―でとおしゃるか」〈虎明狂・鱸庖丁
[類語]打ち傷打撲傷挫創挫傷

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「打身」の意味・読み・例文・類語

うち‐み【打身】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 料理用語。
    1. (イ) さしみ。特に鯉または鯛の左側の身。
      1. [初出の実例]「初めの一献、くらげ・うちあはびにて、次、うちみ」(出典:世俗立要集(13C前‐中か))
    2. (ロ) 式三献の生魚肉。または、二の膳。
      1. [初出の実例]「三本立五本立にも打身はすしほをばそへず」(出典:武家調味故実(1535))
  3. 打撲のような外力によって皮下組織にできた傷。打撲傷。
    1. [初出の実例]「ころころころとんと落つれば〈略〉所は浜辺の瓢箪(へうたん)酒、幸打身の薬成」(出典:浄瑠璃・天神記(1714)三)

打身の語誌

は、元来、魚を三枚におろしたときの左半身(はんみ)を意味した。語源について、狂言の「鱸庖丁」の台詞から、魚肉を切ってはまな板に打ちつけて製するための称とする説がある。次第に式三献の際の生魚肉の総称となり、さらに、式三献における二の膳をも意味するようになった。しかし「さしみ」が一般化すると、室町末期にはほぼ「さしみ」と同義で使われるようになり、「うちみ」はやがて廃れた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の打身の言及

【刺身】より

…作り身,お作りなどともいい,日本料理を代表する品目である。古く〈指身〉〈指味〉〈差味〉〈刺躬〉などと書き,〈打身(うちみ)〉とも呼んだ。京都吉田神社の神官であった鈴鹿家の記録である《鈴鹿家記》応永6年(1399)6月10日条に見える〈指身 鯉,イリ酒,ワサビ〉の記事などが文献に見える最も古い例である。…

※「打身」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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