出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…このような鎌倉時代の武家住宅をさらに変貌させていったのは,僧侶の住いの影響である。当時の僧侶の多くは,寺院の中で個別の住房を構えて修行を行っていたが,書見のために棚板のついた出窓(附書院)を設けたり,仏画をまつるため壁面の前に飾棚を固定した装置(押板(おしいた))を設けることが一般化していった。これらの変化は14世紀から15世紀にかけて進んでいったが,やがて,それが武家住宅にも採り入れられるようになる。…
…従来の寝殿造は書院造となり,浄土を再現した回遊庭園は自然を象徴した観念的小庭園へと凝縮する。生活空間としては床の間(室町時代には押板と呼称),書院,飾棚が成立し,石庭へとつながっていく。それらは高度の精神的鑑賞空間であり,水墨画,詩画軸,墨跡(禅僧の書)は床の間で,詩文の創作享受は書院で,唐物の賞玩は飾棚で,そして自然との対話は枯山水との間で行われた。…
…第2次大戦以後,床の間は日本住宅の封建的な構成を象徴するものとして,また生活上不合理な空間として糾弾を受けるが,畳敷きの部屋の空間秩序を保つうえで欠くことのできない性格のものであり,形式的には自由な創意を加えられながら,座敷飾の中心的な地位を保っている。 歴史的には,床の間の起源は室町時代の上層階級の住宅に設けられた押板(おしいた)にあると考えられている。室町時代には中国宋から輸入した美術品で室内を飾り立てることが流行し,漆器や磁器を飾るための違棚や漢籍を飾る書院,軸装の書画を飾る押板が座敷回りに造り付けられるようになった。…
※「押板」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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