指定カースト(読み)していカースト

百科事典マイペディア「指定カースト」の解説

指定カースト【していカースト】

英語でScheduled Castes。インド憲法第341条に基づき,大統領令で州もしくはその一部ごとに指定された諸カースト総称。一般には被不可触差別が指定の基準となるため,カースト制での不可触の諸カースト(不可触民)をさすことになる。独立後,これらの人びとへの長年の差別に対し,補償が必要との国民合意が成立,憲法は指定カーストもインド国民の一部と定め,不可触民への差別禁止と基本的人権の保障を規定し,特別の優遇措置を国家に義務づけた。高等教育や公的雇用,そして議会議席の人口比に応じた留保制度が実施されている。また指定カーストは指定部族とともに〈後進諸階級〉を構成している。総人口の16.48%(1991年)を占める指定カースト各集団は,人口規模・社会経済状況・宗教的序列などが異なり,実態は一様ではない。独立後50年以上が経過し,指定カーストの社会進出もすすみ,政治的発言力も強化された。一方,優遇政策への一般国民の反感の高まりは厳しい対立を生じさせ,政治社会変動の焦点となっている。

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世界大百科事典内の指定カーストの言及

【インド[国]】より

…このことは普通選挙制が実現した独立後の時期にはさらに重要となった。 ネルー時代の国民会議派の選挙における確固とした支持基盤は,彼自身の出身カーストであり知識階層の多くの人々のそれでもあるバラモン,分割後もインドに取り残されて社会的に不安定な立場にあるムスリム,ヒンドゥー社会の底辺を形づくる指定カースト(不可触民)の三つであったといわれる。この3者だけで全人口の30%をこえると推定される。…

【カースト】より

…これに対しシュードラは入門式を挙げることのできない一生族(エーカジャekaja)とされ,再生族から宗教上,社会上,経済上のさまざまな差別を受けた。そして,シュードラのさらに下には,4バルナの枠組みの外におかれた不可触民(今日では指定カーストscheduled casteと呼ばれる)が存在した。彼らは〈第5のバルナに属する者(パンチャマpañcama)〉とも〈バルナを持たない者〉とも呼ばれる。…

【不可触民】より

…欧米ではパリアpariahの名でも知られる。今日では〈不可触民〉を意味する差別用語は使われず,公式に指定カーストscheduled casteと称される。 浄・不浄の思想に強く支配され,人間や職業をそうした観点から眺めることをつねとしたヒンドゥー教の社会において,賤民制は複雑な発達をとげた。…

※「指定カースト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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