掬する(読み)キクスル

デジタル大辞泉 「掬する」の意味・読み・例文・類語

きく・する【×掬する】

[動サ変][文]きく・す[サ変]
両手で水などをすくいとる。
「水を―・して喉を湿うるおし」〈竜渓経国美談
気持ちをくみとる。推し量って理解する。「真情を―・する」
手にすくいとって味わいたいと思う。
「ある―・すべき情景に逢うと」〈漱石三四郎

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「掬する」の意味・読み・例文・類語

きく‐・する【掬】

  1. 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]きく・す 〘 他動詞 サ行変 〙
  2. 手ですくいとる。
    1. [初出の実例]「手をあふげて、指頭すこしきかがめて水を掬せんとするがごとくしてもちて」(出典:正法眼蔵(1231‐53)洗浄)
    2. 「馬背の流汗滂沱として掬(キク)すべく」(出典:義血侠血(1894)〈泉鏡花〉二)
    3. [その他の文献]〔春秋左伝‐宣公一二年〕
  3. ( 比喩的に、笑顔、真情、光景などについて ) 手ですくいとりたいと思う。手にとって賞玩する価値があるという気持でいう。
    1. [初出の実例]「婉然顧眄、窈窕閑雅、声容如掬」(出典:随筆山中人饒舌(1813)下)
    2. 「ある掬(キク)すべき情景に逢ふと、何遍もこれを頭の中で新にして喜んでゐる」(出典:三四郎(1908)〈夏目漱石〉四)

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