日本大百科全書(ニッポニカ) 「政令・省令・府令」の意味・わかりやすい解説
政令・省令・府令
せいれいしょうれいふれい
行政機関の定立する法規を命令ないし行政立法といい、命令を制定する主体によって、政令、省令、府令(内閣府令)の区別がある。
[阿部泰隆]
政令
憲法および法律の規定を実施するために内閣が制定する命令で、命令のうち合議体としての内閣の発する命令を政令という。命令のなかで最高位のもので、主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署して天皇が公布する(憲法74条、7条1号)。政令は、法律を執行するために制定される執行命令と、法律の委任に基づいて制定される委任命令に限られ、法律からまったく独立な命令の制定は許されない(憲法73条6号)。また、国会中心主義をとる日本国憲法の原則に照らして、委任は個別具体的でなければならず、白紙委任は許されない。政令には、とくに法律がその委任を明示している場合でなければ、罰則を設け、義務を課し、または権利を制限する規定を設けることはできない(憲法73条6号、内閣法11条)。
[阿部泰隆]
省令
各大臣が、主任の行政事務について、法律もしくは政令を施行するため(執行命令)、または法律もしくは政令の特別の委任に基づいて(委任命令)発する命令。たとえば、文部科学省令、財務省令など、行政立法の一種で、政令より下位にある。政令と同様、法律の委任がなければ、罰則、義務賦課、権利制限規定を置くことはできない(国家行政組織法12条3項)。
[阿部泰隆]