行政機関が立法機関の定める法律の委任を受けて,本来は立法機関が法律の形式で定めるべき事項について制定する法的規律をいう。行政機関による立法作用であるから,行政立法の一種であるが,立法機関の委任を受けている点で執行命令と異なる。実定法上,委任命令という法形式は存在せず,政令,命令,規則という法形式が認められているにすぎない。委任命令は,これらの法規定の内容と立法機関の立法権との関係を明らかにする用語である。立法機関はその立法権を無意味ならしめるような包括的・一般的・白紙的委任をすることは許されず,委任は法律の補充的規定,具体的特例的規定,解説的規定の範囲内でなければならない(委任立法の限界)。現行法制下では,行政立法に罰則や国民の権利を制限しこれに義務を課する規定を設ける場合には,必ず法律の委任がなければならない(憲法73条6項但書等)。
執筆者:中西 又三
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…国の行政機関の長は,それぞれその機関の権限に属する事項について命令を発する権限を有し(国家行政組織法12条,13条),この命令はそれぞれこれを発する機関の種類に応じて総理府令,省令,委員会・庁の規則に分けられる。省令は,法律もしくは政令を施行するため(執行命令),または法律もしくは法律の特別の委任に基づいて(委任命令)定められる(12条)。執行命令としての省令は〈○○法施行規則〉,委任命令としてのそれは〈○○に関する省令・規則〉等を表題としている。…
…行政府が法律を根拠とすることなく独自に定める命令。行政立法の一種であるが,法律を執行するための執行(施行)命令,法律の委任に基づく委任命令と異なる。独立命令は,歴史的には,議会の地位が低く,君主に直属する行政府に高い地位が与えられていた立憲君主主義憲法下において認められていた。…
…現行憲法下における命令の形式としては,内閣の定める政令(憲法73条6号),内閣総理大臣または各省大臣の定める総理府令または省令,委員会または庁の長が定める規則(国家行政組織法12,13条),会計検査院の定める会計検査院規則(会計検査院法38条),人事院の定める人事院規則(国家公務員法16条)などがある。またそれは法律を執行するための執行命令(施行命令)又は法律の委任に基づく委任命令としてのみ制定することが許される。命令に刑罰規定を設け,命令が国民に義務を課しまたはその権利を制限するには,必ず法律の委任に基づかなければならない(憲法73条6号但書,内閣法11条,国家行政組織法12条4項)。…
※「委任命令」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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