救急蘇生法(読み)きゅうきゅうそせいほう(その他表記)cardiopulmonary resuscitation; CPR

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「救急蘇生法」の意味・わかりやすい解説

救急蘇生法
きゅうきゅうそせいほう
cardiopulmonary resuscitation; CPR

事故や病状急変などによって起こる呼吸停止,心停止に際して行なう救命処置。人工蘇生術ともいう。呼吸蘇生法と心蘇生法を行なう。呼吸蘇生法では,まず気道を確保し,呼気を患者の口から吹き込む。心蘇生法では,胸骨を脊柱に向けて押す非開胸式心臓マッサージが第1の方法で,血流の止まった脳にできるだけ早く酸素を送り込む。かつて日本では,薬剤注入や心室細動除去法などの救命処置は医師のみが行なえる医療行為として制限され,それが心肺停止の状態で病院に搬送された患者の死亡率が他国に比べ高いことの一因と指摘された。それをうけて,1992年4月に救急救命士制度が国家資格として発足した。資格をもった救急隊員は,医師の指示のもと,救急車内で,呼吸を確保するための器具の使用,自動体外式除細動器(AED。→除細動器)による心拍を取り戻すための処置,心臓の動きを強める点滴注射など,一定の医療行為を行なうことができる。2004年,無資格の一般人も AEDを使用することが可能となり,公共施設などへの AEDの設置が推進された。

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