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点滴注射 テンテキチュウシャ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

点滴注射
てんてきちゅうしゃ

多量の薬液をはじめ、電解質、栄養素、血液などを重力あるいは注入ポンプによって静脈内に投与する注射法の一種で、点滴静注、点滴注入ともいう。一定の高濃度を維持する場合、多量の注射液を用いる場合、低濃度の薬液を長時間かけて投与する場合などに行われる。かつては容量500~1000ccの滅菌したイルリガートルとよばれるガラス製の灌注(かんちゅう)器にゴム管またはビニル管を接続し、管の途中に薬液の滴下する速度を加減するクランプ(締め具)とガラス管があり、さらに注射針との間には万一、液の中に空気が混入した場合、これを排除する排気路を設けたガラス管(通称たこ管)をつけたものが使われていたが、最近は医療用プラスチック製の使い捨ての点滴セットを使う場合が多くなった。
 注射部位は、一般に腕の肘(ちゅう)静脈を用いるが、足関節上方の内果部の静脈を用いることもある。注射針は抜けないように針の根部またはガラス管のところで皮膚に絆創膏(ばんそうこう)を用いて固定する。確実な固定を必要とするときには翼付き注射針が使われる。イルリガートルは普通1メートルの高さにスタンドで支えておき、肘関節のところへ固定板を当てることもある。また、静脈が深くて見にくい場合や静脈が確保できないときには、手術的に静脈を出して(静脈切開)行うこともある。なお、点滴の速度は普通1時間200~300ミリリットルの注入(16滴が約1ミリリットル)を限度としており、とくに老人や乳幼児の場合は量の許容限度が狭く、注入速度について細心の注意が必要で、短時間に大量の点滴注入を行うと脳浮腫(ふしゅ)や肺水腫などの合併症をおこす危険がある。
 使用される薬液としては、ブドウ糖、果糖、生理的食塩液、多電解質液、脂質などに各種ビタミン類、抗生物質、強心薬、強肝薬などが加えられ、適宜必要に応じて使い分けられる。外科分野ではおもに大手術を必要とする疾患の場合、術前の体力改善と術後の体力回復のために輸液や輸血の形で行われることが多く、外傷による出血多量や水分不足などをきたす熱傷などでも必要となる。内科分野では主として重症疾患の場合に行われ、一般には経口的食物摂取が不能または不十分なとき、嘔吐(おうと)、下痢、異常発汗、瘻孔(ろうこう)などによって体液が多量に喪失したとき、種々の原因で水分や電解質が欠乏しているとき、治療の目的で多量の薬液を注入するとき、などに用いられる。[柳下徳雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の点滴注射の言及

【輸液】より

…注入経路は主として静脈内であるが,皮下に注入することもある。静脈内への輸液は点滴または点滴注射intravenous drip infusionという。点滴はかつてはガラス製の点滴瓶にゴム管を連結したものを用いたが,最近では使い捨て可能なプラスチック製の輸液セットに輸液瓶をつないだ装置が用いられる。…

※「点滴注射」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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