新安沖海底沈没船(読み)しんあんおきかいていちんぼつせん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新安沖海底沈没船」の意味・わかりやすい解説

新安沖海底沈没船
しんあんおきかいていちんぼつせん

1975年7月,大韓民国全羅南道新安那智島邑道の沖合いで漁船の網に数点の青磁がかかり,沈没船の存在が判明し,76年より韓国文化財管理局が海軍の支援を得て調査を行ない,中国南宋・元時代の青磁,白磁,黒釉陶など1万 8000点以上,金属製品 5000点以上,20t以上の銅銭,黒胡椒,香木,数点の高麗青磁など膨大な交易品が引き揚げられた。日本製の古瀬戸梅瓶・和鏡・刀鐔 (つば) ・将棋の駒なども見つかり,日本人乗員の存在が推定され,「東福寺」銘の木簡が発見されたことから京都東福寺の関与も考えられる。なお本船の沈没年代は,陶磁中に染付が全く含まれないことや他の陶磁器より 14世紀前半とされ,元の至治3 (1323) 年銘の木簡が複数発見されたのをもって沈没年に当てている。本船は中国浙江省寧波より出港し,日本へ向かう途中沈没したと考えられるが,積荷には日本向けでない陶磁器や胡椒を含み,琉球やフィリピンに及ぶ交易航路が推定されている。引き揚げられた文物の一部は光州博物館に展示されている。

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