新居氏(読み)にいうじ

改訂新版 世界大百科事典 「新居氏」の意味・わかりやすい解説

新居氏 (にいうじ)

古代から中世にかけての伊予国(愛媛県)の豪族。古代の豪族越智(おち)氏の流れをくむと伝えられる。平安時代の中期から台頭し,後期には東・中予地方に大きな勢力を有した。新居郡(新居浜市,西条市東部)を中心にして周敷(しゆふ)/(すふ)郡(西条市西部),桑村郡(西条市の旧東予市),越智郡(今治市),伊予郡(伊予市とその周辺)等に進出し,風早郡(松山市の旧北条市)からおこった河野氏と勢力を競った。平安末期には平家との関係が深くなり,その家人化していた。源平争乱時には,源氏にくみした河野氏と戦って敗れ,乱後は河野氏に服属,承久の乱では盛氏が河野通信軍に属して京方として戦った。また盛氏は桑村郡に観念寺を建立し(建立時期は延応年間(1239-40)とも文永年間(1264-75)とも),以後同寺が一族菩提寺となった。また,一族出身の凝然が著した〈予州新居系図〉(西条市伊曾乃神社蔵)は,一族の系譜や発展のあとを知る貴重な史料であり,重要文化財に指定されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の新居氏の言及

【伊予国】より

…中でも弓削島荘では,国衙官人の非法に反対する住民たちの抵抗が見られた。また同じころ,河野氏新居氏などの武士団が形成された。両氏はともに越智氏の流れをくむと伝えているが,河野氏は風早郡を,新居氏は越智郡や新居郡を勢力範囲として互いに勢力を競った。…

※「新居氏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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