改訂新版 世界大百科事典 「越智氏」の意味・わかりやすい解説
越智氏 (おちうじ)
古代の伊予国の豪族。越智郡(現,愛媛県今治市,越智郡)を根拠地とし,孝霊天皇の孫小千御子の流れをくむと伝えられる。大化前代には小千国造として見え,律令制下では越智郡の郡司として勢威を有した。直(あたい)の姓(かばね)を有する者が多い。また一族の中には,大学博士となった越智直広江や,《新撰姓氏録》の編纂に関与した越智直浄継のように中央で活躍する官人もいた。平安時代の中期になると,一族の中には伊予掾(いよのじよう),同目(さかん)などの雑任国司の地位を得て,在庁官人として国衙に進出する者も多くなった。その一人越智用忠は948年(天暦2),藤原純友をはじめとする海賊追討の功により叙位を許された。中世に活躍する河野氏や新居(にい)氏はいずれも越智氏の流れをくむと伝える。
執筆者:山内 譲
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報