建築で横架材(おうかざい)とそれを支える垂直材とによって生ずる鉛直面の入隅(いりすみ)部分を斜めに結んで固め,風や地震などの水平力に対して建物の変形を防ぐ短い部材。水平面に用いられる火打と似るが,方杖には横架材に生ずる曲げとたわみに対し,その中途を支えることでその梁間を少しでも縮め,応力を軽減させる役目もあり,それを入隅部だけを固める軸方杖と区別して力方杖ということもある。力方杖では床梁(ゆかばり)との仕口にとくに力が加わるので,梁を2本にして両側から方杖をはさんだり,梁の中央下端に添え梁をボルト締めして方杖との仕口面積を大きくしたりする。真束(しんづか)小屋組で真束の元と合掌材の中点との間に入れる小屋方杖も力方杖の一種である。このような構造材のほかに深い軒や庇を受ける出桁を支えるために柱や壁から斜め上方に突き出す方杖があり,彫物で飾って化粧とすることが多い。
執筆者:太田 邦夫
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