方法論争(読み)ほうほうろんそう(その他表記)Methodenstreit

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「方法論争」の意味・わかりやすい解説

方法論争
ほうほうろんそう
Methodenstreit

歴史的には,通常 1880年代初期のオーストリア学派の C.メンガーと新歴史学派の G.シュモラーとの間の経済学の方法論に関する論争をいう。メンガーの著書『社会科学の方法に関する研究』 (1883) に対してシュモラーが書評の形で反論し,またメンガーが『歴史主義の誤謬』 Die Irrthumer des Historismus (84) において再反論を加えた。争点は,社会科学あるいは経済学において自然科学のような厳密な意味での法則が存在するか否かということにあった。メンガーは理論的な考察の必要性を強調したが,シュモラーは今日の時点ではそのような法則は望みえないとし,さしあたり経験的な事実の収集に努めるべきだとした。のちに歴史学派の巨匠 L.ブレンターノとオーストリア学派の第2世代にあたる E.ベーム=バウェルクとの間にも類似の論争が繰返された。

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世界大百科事典(旧版)内の方法論争の言及

【メンガー】より

…メンガーは,歴史学と理論の性質や役割を区別することが,方法論上の混同を避けるためにも重要だと考えていたのである。このような態度は,この本のG.vonシュモラーによる書評とそれに対するメンガーの反論を生み,後に〈方法論争Methodenstreit〉と呼ばれる論争を生み出すことになる。メンガーは《国民経済学原理》の改訂を長らく計画していたが果たせず,1903年大学を辞しこの作業に集中的に取り組んだが,ついに完了することはできなかった。…

※「方法論争」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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