日の出山瓦窯跡(読み)ひのでやまかわらがまあと

国指定史跡ガイド 「日の出山瓦窯跡」の解説

ひのでやまかわらがまあと【日の出山瓦窯跡】


宮城県加美郡色麻(しかま)町堰堀ほかにある窯跡。今までのところ、奈良時代前半期の城柵(じょうさく)や寺院造営に使用された瓦の窯跡は、多賀城周辺にはなく、北方大崎平野周辺の丘陵部に限られている。日の出山瓦窯跡は、木戸瓦窯跡、大吉山(だいきちやま)瓦窯跡と同様に、8世紀前半に役所や寺院の屋根瓦を生産した施設で、古代陸奥(むつ)国の官窯と考えられる。大崎平野の南辺にあり、5地点で瓦窯跡が見つかっている。そのうちの一部が1976年(昭和51)に国の史跡として指定されている。蓮花文軒丸瓦(のきまるがわら)、重弧文軒平瓦、蓮花文棟端飾板や丸瓦・平瓦が検出されている。丘陵の南斜面に7基の窯が発見され、6基は瓦を焼成するものだが、1基は須恵器専用だった。窯は地下式無段窖窯(あながま)で、斜面を掘り下げて前庭部を設け、窯体を掘り抜いたもので全長は5m強、幅・高さとも約1m。ここで製造された瓦は、南方25kmの多賀城跡や多賀城廃寺跡、西北約8kmの菜切谷(なぎりや)廃寺跡などから出土している。陸奥国における初期の瓦窯の一つであり、当時の城柵や寺院の造営の進展、窯業生産のあり方を解明するうえで基準となる重要な遺跡である。JR陸羽東線西古川駅から車で約20分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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