出版流通の効率化などのため,1981年世界各国で利用されているISBN(International Standard Book Number,国際標準図書番号)にならって導入された日本独自の図書コード。それまでは,書籍の内容分類や発行所を14けたの数字にコード化した〈書籍コード〉が,1970年から実施されていた。コードを付ける対象となるのは,図書,絵本,マイクロ資料,点字出版物,カセットやレコードなどのほか,それらと組み合わされたもの。ISBNの起源は1969年イギリスのSBNを基礎に生まれたもので,10桁のアラビア数字を使い,(1)国別または言語圏を表す番号,(2)出版者(社)番号,(3)書名番号,(4)チェック数字,の部分から構成されている。そしてこの形はISO(International Organization for Standardization,国際標準化機構)の国際規格2108によって規定されている。国別または言語の番号は国際ISBN機関で定められ,出版者番号は国内のISBN機関が出版量に応じて2~7桁を割り当てる。書名番号は出版者が自社の書籍に割り当てる。チェック数字はコンピューターの一定した計算方法で数字の誤記をチェックすることができるようになっている。
これに対して,日本図書コードは図書館や出版流通・販売に活用できるように変形されている。たとえば,〈ISBN4-89999-002-2 C1011 1000E〉という表示は,〈日本(4)の出版者(89999)の書籍(002)。教養向きの単行本で心理学の本(分類コードC1011),本体定価は1000円〉ということを表す(図参照)。また,コード表示の書体はコンピューターで光学的に識別できるようにOCR-Bフォントを使用する。そのために書体,紙質,文字と背景のコントラストなどのくふうをしたり,表示場所を本の一番外側,スリップ(売上げ短冊),奥付に設けるなど細かい規定がある。図書コードから日本図書コードへの移行の際に,日本図書コード管理委員会に対して一部の出版者から〈コンピューター使用による本の国民総背番号制の実施だ〉として出版物の管理への疑問が出された。なお国際標準図書番号ISBNの13桁化にともない,日本でも2007年1月から,先頭に978の3桁の数字をつけ,13桁のISBNを付すこととなった。
執筆者:清田 義昭
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