日本歴史地名大系 「日本奥地紀行」の解説
日本奥地紀行
にほんおくちきこう
一冊 イサベラ・バード著 高梨健吉訳 平凡社東洋文庫 昭和四八年刊
解説 明治一一年にイギリスの旅行作家バードが行った東北地方および北海道南部旅行の記録。本書の原題は「日本の未踏の小道」というほどの意味で、外国人には未知の日本の辺境地方を紹介したものである。それは若い日本人通訳を伴い、日光から先は宿場ごとに馬を借りながら人通りの少ない困難な山間のルートをたどった著者が、そこで見聞した維新後まもない東北の村々の貧窮した状況を赤裸々に記している。北海道では平取のアイヌコタンに赴きアイヌの生活・風俗・言語などの調査をしているが、それは外国人によるもっとも初期のアイヌ居住地訪問として注目すべきものであった。その際に往路は森から内浦湾を船で室蘭へ渡り、帰路は内浦湾北岸の困難な山道をたどっており、多くの観察と冒険に富んだ紀行となっている。
日本奥地紀行
にほんおくちきこう
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報