日本奥地紀行(読み)にほんおくちきこう

日本歴史地名大系 「日本奥地紀行」の解説

日本奥地紀行
にほんおくちきこう

一冊 イサベラ・バード著 高梨健吉訳 平凡社東洋文庫 昭和四八年刊

解説 明治一一年にイギリスの旅行作家バードが行った東北地方および北海道南部旅行の記録。本書原題は「日本の未踏小道」というほどの意味で、外国人には未知の日本の辺境地方を紹介したものである。それは若い日本人通訳を伴い、日光から先は宿場ごとに馬を借りながら人通りの少ない困難な山間のルートをたどった著者が、そこで見聞した維新後まもない東北の村々の貧窮した状況を赤裸々に記している。北海道では平取アイヌコタンに赴きアイヌの生活・風俗・言語などの調査をしているが、それは外国人によるもっとも初期のアイヌ居住地訪問として注目すべきものであった。その際に往路は森から内浦湾を船で室蘭へ渡り、帰路は内浦湾北岸の困難な山道をたどっており、多くの観察と冒険に富んだ紀行となっている。


日本奥地紀行
にほんおくちきこう

一冊 イサベラ・バード著 明治一三年刊

解説 著者は英国生れで牧師の父をもつ。幼少から病弱で転地療養のため北米を訪れるが、以後世界各地を旅行し、そのたびに見聞記・紀行文を著した。日本に来たのは明治一一年がはじめで、六月から九月にかけて東北・北海道を巡った。同一三年その記録をまとめて出版したのが本書で、原題は「日本の未踏の地」。文明開化のいまだ及ばぬ農村を活写し、津川町・新潟町の記述がみえる。

活字本 東洋文庫二四〇

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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