日田金(読み)ひだがね

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日田金」の意味・わかりやすい解説

日田金
ひだがね

日田銀とも書く。江戸時代,豊後国天領日田の高利貸業者。日田は水陸交通の要衝で,地方産業の中心でもあった。この経済的基盤を背景に収益が次第に蓄積され,富豪のなかには代官諸大名蔵元掛屋となる者が現れ,高利貸を業とするようになった。大名貸の場合は,必ず郡代を通して行われたため,貸付金不払い,滞りは郡代に訴えられ,幕府に不始末が通じることとなり,返済は厳重に守られた。その結果,大坂,博多,長崎資本も導入され,日田は九州金融の中心となった。また田畑家屋担保に一般庶民への貸付けも行い,これを日田銭と称した。

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世界大百科事典(旧版)内の日田金の言及

【日田[市]】より

… 隈・豆田両町は,筑後川舟運により北部や西部一帯と交通路が開けたため仲介商業が発展し,豪商が形成された。彼らは,代官所の廻米用達や掛屋をつとめ,また預り金を運用して周辺諸国の大名や村々への貸付けを行い,日田金(ひたがね)と称する金融業者として発展した。隈町の山田・森両家,豆田町の草野,広瀬,千原,手島の各家などの豪商が軒を並べ,八軒士とか掛屋仲間衆と呼ばれた。…

※「日田金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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