大名貸(読み)だいみょうがし

  • だいみょうがし ダイミャウ‥

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

江戸時代,商人大名を相手に行なった金融江戸時代初期から財政が窮迫してきたため,諸藩では,領内や三都 (江戸,京都,大坂) の有力商人からの借財で藩の経営を維持した。当初は素貸 (すがし) であったが,元禄以降,踏倒す大名が多くなったため,米や藩の産物抵当に貸付けた。踏倒しで倒産するもいたが,藩財政を掌握して利益を得る者もあった。

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百科事典マイペディアの解説

江戸時代,本両替などの大金融業者(町人)が行った諸藩大名への金銀貸付,また貸付業者をいう。江戸初期からみられるが,領主財政窮乏の進行とともに17世紀末以降盛んとなった。なかには領主会計を完全に掌握してしまう者も出た。→掛屋
→関連項目近江商人紀伊国屋文左衛門御用達八幡町

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世界大百科事典 第2版の解説

江戸時代における町人の大名(藩)への金銀貸付け。藩は年貢米その他蔵物の中央都市への回送・売払いによって幕府発行の全国貨幣を獲得し,その貨幣を領内では自給できない物資の購入と,参勤交代,江戸在府,御手伝普請など幕府への勤役のための支出にあてた。この循環のなかで,現実には蔵物の回着時期・回着量によって入手しうる貨幣と,藩が必要とする貨幣との間に時期や量のずれが生じる。このずれを埋めるのが大名貸であるが,借手からみれば大名個人の負債ではなく藩債である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

江戸時代、高利貸商人が、諸藩大名領主に金銀を貸し付けること。近世前期には、京都の両替商や朱印船貿易に従事していた豪商などが、財政窮乏の大名に高利貸付をするが、一方的な債権破棄にあって、倒産する商人も多い。中期以後は、大坂の堂島米市場の発展により、大坂の両替商、蔵元(くらもと)商人などが、廻米(かいまい)を担保とする大名貸を展開し、藩財政と大坂高利貸資本が結び付いて、大名貸資本が巨大な資本を蓄積するのである。とくに元禄(げんろく)期(1688~1704)以降、領主経済の窮乏化に伴い、蔵米(くらまい)販売代金を保管・出納する掛屋を勤める御立入(おたちいり)商人の大名貸はますます増加した。薩摩(さつま)藩、仙台藩などの大藩の借金は100万両以上に上った。藩財政は、これら金主の富商によって制せられ、彼らは諸大名より扶持(ふち)を給され、大名貸の代表的存在となった大坂の鴻池(こうのいけ)などは、岡山・広島藩はじめ各藩から受ける扶持米が1万石にも及んだ。金利は、月8朱が多かったが、幕末には月4朱ほどにまで低下したという。

[川上 雅]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 江戸時代、町人で大名を相手に金を貸したこと。また、その業やそれをする人。大名を相手とする金融業。
※俳諧・桃青門弟独吟廿歌仙(1680)仙松独吟「長者のあとの春やむかしの すっへりと大名借の雪きえて」

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

江戸時代,豪商が大名に対し行った貸付け
藩の財政難で江戸中期以降盛行。両替商を兼ねる掛屋 (かけや) や出入りの豪商らが年貢米を担保に金融することが多い。返済が容易でなく借金が増大した結果,大名が借金をふみ倒し,貸主が破産する場合もあったが,豪商らは以後の金融に応じないことを協定して対抗した。明治維新時の藩債は約7500万円で,政府が継承,うち1843年以前の借金を帳消にし,残高約3500万円を現金および長期年賦の公債で返還した。

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世界大百科事典内の大名貸の言及

【年貢先納】より

… 石高制にもとづく江戸時代の領主経済は,原則として米納年貢の収取によって賄われたから,領主の歳入は秋の収穫期に限られたわけであるが,参勤交代の負担や天災による歳入の減収,役替え,家督相続,江戸屋敷の類焼など臨時支出の頻発によって,収納期前の領内外からの借入金が,早い時期から恒常化していた。京都,大坂の富商に代表される大名貸は,将来の年貢米を担保とし,収穫期に中央市場に回送される領主米の販売代銀で返済するのが一般であったが,債務の累積によって返済の延滞や切捨てがたび重なるにつれて,領主権力の及ばないそのような領外からの借入を困難にしていった。領主にとって最も安易に借入を調達しうる方法が,領内における年貢先納であった。…

【三谷三九郎】より

…江戸で明暦年間(1655‐58)以前から続いた本両替商の名。とくに米沢,秋田,会津など東北諸藩への大名貸を行い,大坂の鴻池と並び称された。米沢藩では三谷に禄高700石の待遇を与え,金融面だけでなく上杉鷹山(ようざん)の殖産興業政策に深くかかわり,蠟,青苧(あおそ),絹織物の一手販売まで行わせていた。…

※「大名貸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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