改訂新版 世界大百科事典 「旧慣使用権」の意味・わかりやすい解説
旧慣使用権 (きゅうかんしようけん)
市町村制施行以前からの慣習(旧慣)にもとづいて,市町村の特定の住民がその市町村の公有財産(山林・原野等の普通財産や,ため池・用水等の行政財産等)を使用する権利。この旧慣を変更・廃止したり,市町村長が他の者に新たな使用を許可する場合は,議会の議決を経る必要があり(地方自治法238条の6),また,旧慣による従前の権利を侵害しないよう配慮しなければならない。なお,類似のものとして一定地域の住民に私法上認められる入会(いりあい)権があるが,旧慣使用権はその市町村の住民であることによって特例として認められる公法上の権利であり,そのために,その変更・廃止は議会の議決を経る必要があるとともに,その公有財産について新たに使用しようとする者の使用を絶対的に拒否することはできない。
→入会
執筆者:福家 俊朗
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報