日本大百科全書(ニッポニカ) 「早坂一郎」の意味・わかりやすい解説
早坂一郎
はやさかいちろう
(1891―1977)
古生物学者。仙台に生まれる。1915年(大正4)東北帝国大学地質学科を卒業後、同大学講師、1918年新潟県青海石灰岩の研究で理学博士、同年助教授に進む。1924年ヨーロッパおよびアメリカに留学、1928年(昭和3)帰国し、新設の台北帝国大学理農学部教授に就任、地質学科を設立した。東北帝大のころからおもに古生代の化石を研究したが、台湾では広く分布する第三紀化石の調査を推進し、優れた業績を残した。第二次世界大戦後、台北帝大が中華民国国立台湾大学となり、1949年(昭和24)帰国。1950年金沢大学教授、1951年北海道大学へ転じ、1954年まで金沢大学教授を兼務、1955年退官して東洋大学へ移る。1958~1962年島根大学学長を務めた。1952~1953年日本地質学会会長、1952~1955年日本学術会議会員に選ばれ、戦後の大学・学会民主化運動と関係が深い。著書は『日本地史の研究』ほか。
[石山 洋]