早期退職制度(読み)そうきたいしょくせいど

日本大百科全書(ニッポニカ) 「早期退職制度」の意味・わかりやすい解説

早期退職制度
そうきたいしょくせいど

民間企業官公庁、団体などが退職金加算などの優遇措置で、定年前の従業員や職員に退職を促す制度。早期退職優遇(勧奨)制度、セカンドキャリア支援制度、選択定年制度とよばれることもある。自らの意思で労働契約を解除するので、解雇にはあたらない。退職と同時に、再就職を支援するケースもある。企業や官公庁・団体にとっては、人件費が高く余剰感をもたれがちな中高年層を削減し、給与水準の低い若手に代替することで、固定費を圧縮し、生産性をあげられる利点がある。一方で、退職金の割増しや再就職支援などで一時的に経費がかさむうえ、技術や知識をもった優秀な人材が他へ流出するリスクも伴う。

 欧米では1970年代から普及した。日本でも1970年代に導入する例はあったが、1985年(昭和60)に国家公務員の早期退職勧奨制度(定年前早期退職特例措置)が導入されたうえ、プラザ合意後の円高で国内生産拠点の海外移転が進んだ1986年以降に広く活用されるようになった。事業転換を進める企業や合併・統合した企業での活用が目だつほか、21世紀に入ると、財政難に苦しむ地方自治体の活用が増えた。なお類似の概念に、希望退職制度がある。早期退職が経営余裕がある時期に実施するのに対し、希望退職業績が悪化した企業が緊急避難的に実施することが多い。ただ将来の経営に対する不安を払拭(ふっしょく)するため、希望退職制度を早期退職制度と称する企業も多い。早期退職制度の普及で、終身雇用前提としてきた日本の雇用の流動化が進むようになった。

[編集部 2020年1月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

人事労務用語辞典 「早期退職制度」の解説

早期退職制度

希望退職制度の一手法で、退職金などを優遇する代わりに、定年前に退職を促す制度のことをいいます。近年、導入企業が増え、対象となる年齢も低くなってきています。
(2008/2/18掲載)

出典 『日本の人事部』人事労務用語辞典について 情報

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