日本大百科全書(ニッポニカ) 「昇華核」の意味・わかりやすい解説
昇華核
しょうかかく
sublimation nucleus
氷晶核の一種。氷晶のでき方には、水蒸気がいったん凝結して過冷却雲粒となったのちに凍結する場合が多いが、ときには水蒸気が液相を経ずにいきなり固相、すなわち氷の結晶に転化する(昇華という)こともある。後者の場合に結晶の核として働く微粒子を昇華核とよぶ。同温度ならば氷に対する飽和水蒸気圧は、水に対するそれより低いので、環境中の水蒸気圧がその間の値をとるときには、氷に対して過飽和、水に対して未飽和である。昇華核はこの状態で氷晶生成の核として働く。
[三崎方郎]
『高橋劭著『雲の物理――雲粒形成から雲運動まで』(1987・東京堂出版)』