氷晶核(読み)ひょうしょうかく(英語表記)ice nucleus

精選版 日本国語大辞典 「氷晶核」の意味・読み・例文・類語

ひょうしょう‐かく ヒョウシャウ‥【氷晶核】

〘名〙 大気中で氷晶の核となる微細な粒子黄砂火山灰などの鉱物粒子が多い。

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デジタル大辞泉 「氷晶核」の意味・読み・例文・類語

ひょうしょう‐かく〔ヒヨウシヤウ‐〕【氷晶核】

大気中で氷晶がつくられるときの中心となる核。地表から舞い上げられた粘土鉱物や火山灰などの微粒子が多い。また、人工降雨の氷晶核として、ドライアイス小片沃化銀結晶が用いられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「氷晶核」の意味・わかりやすい解説

氷晶核
ひょうしょうかく
ice nucleus
ice-forming nucleus

大気中でつくられる氷晶の核。過飽和の大気中で水蒸気が凝結して微水滴(雲粒)となるには凝結核が必要であるように、0℃以下の過飽和大気中で氷晶ができるのには、結晶の中心となる核が必要で、これを氷晶核という。氷晶は水蒸気から直接生まれる(昇華)こともあるが、水蒸気からいったん過冷却の微水滴となり、それが凍結したものであることのほうが多い。前者の場合に働く核を昇華核後者の場合に働く核を凍結核という。氷晶核はその総称である。氷晶核が氷晶の生成を促すという性質は、その結晶の格子常数が氷のそれに似ていることに由来する。自然の氷晶核の大部分は、地表から大気中に巻き上げられた結晶性粘土鉱物の微粒子である。人工の氷晶核としてはヨウ化銀粒子が代表的で、人工降雨に利用される。

[三崎方郎]

『高橋劭著『雲の物理――雲粒形成から雲運動まで』(1987・東京堂出版)』『前野紀一著『氷の科学』新装版(1988・北海道大学図書刊行会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「氷晶核」の意味・わかりやすい解説

氷晶核
ひょうしょうかく
ice nucleus; sublimation nucleus

大気中で水蒸気氷晶をつくるときに昇華の中心となる固体の微粒子。微粒子の大きさや大気の温度によって氷晶ができる条件が異なる。粘土粒子,火山灰などは-15℃くらいでよい氷晶核となり,天然の雪の中に見出せる。ヨウ化銀などの微粒子も氷晶核の働きをすることから人工降雨に用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内の氷晶核の言及

【雨】より

… もう一つは氷の結晶(氷晶,半径数μm)の成長が関係する雨であって,これは冷たい雨のおもな原因である。すなわち,氷晶の心核となる氷晶核(半径0.1~1μm程度の陶土,黄砂,火山灰,粘土などの鉱物質)が0℃以下の雲中の水蒸気の多い(氷に対して過飽和な)ところに入ると,水蒸気が昇華して氷晶をつくる。そのとき,このまわりの雲粒が過冷却(0℃以下で水滴状態)であれば氷晶の表面温度に対する飽和水蒸気圧よりも,過冷却の表面温度に対する飽和水蒸気圧の方が大きいために,水蒸気は急速に氷晶の方に集まってきて氷晶は成長する(自然の氷晶核の濃度はふつう1l中に1個以下)。…

【雲】より

…水蒸気はいくら多く集まってもそれだけでは容易に水滴にはなりにくいが,凝結核があると容易に凝結が起こり,水蒸気が多く集まってきて水滴が形成される。また同様の理由で,0℃以下で水蒸気が多く集まっても氷晶はできないが,氷晶核(氷晶の心)があると容易に昇華が行われ氷晶をつくる。 雲の凝結核として重要なものは,海水のしぶきが乾燥してできた海塩の粒子や工場などから排出される微粒子や土壌物質などであるが,これらは大気中に十分に存在する。…

※「氷晶核」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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