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過飽和 かほうわsupersaturation

翻訳|supersaturation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

過飽和
かほうわ
supersaturation

ある量が飽和状態より多く含まれる状態で,一種の準安定状態のことである。たとえば,過飽和溶液はその温度における溶解度に相当する量より多くの溶質を含む溶液で,濃い溶液を静かにゆっくりと冷却することによって得られる。過飽和溶液は不安定であるから,外部から衝撃を加えたり,結晶核などを投入すると急に過剰の溶質を析出して安定な飽和溶液となる。また過飽和蒸気はその温度における飽和蒸気圧より高い蒸気圧をもつ準安定な蒸気で,攪乱したり凝縮核を投入したりすると,急に液滴を生じて飽和蒸気となる。過飽和に水蒸気を含む高空の大気中を飛行機が飛ぶと攪乱によって飛行雲を生じるのは,この一例である。核物理学で用いられる霧箱は,過飽和状態の蒸気中を荷電粒子が通過するとき,その通路に生成した陰,陽イオンを核として形成された霧滴の列によって粒子の飛跡を観測する粒子検出器である。

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デジタル大辞泉の解説

か‐ほうわ〔クワハウワ〕【過飽和】

溶液中に、溶解度以上の物質が含まれている状態。
蒸気が、飽和点以上に存在すること。飽和水蒸気圧以上になっても、水蒸気が凝縮しないことなど。

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百科事典マイペディアの解説

過飽和【かほうわ】

(1)溶液がある温度において溶解度以上に溶質を溶かし込んでいる状態。飽和溶液を徐々に冷却すると得られるが,不安定状態であり,結晶核となる物質,たとえば溶質結晶片,ちりなどを混入したり,振動を与えると,過剰な溶質が析出して安定な飽和溶液となる。
→関連項目凝縮

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岩石学辞典の解説

過飽和

溶液がその温度における飽和溶解度に相当する量以上に溶質を含む場合.過飽和状態は準安定状態で,結晶質固相が分離しないで中断された平衡状態が残った溶液で,外部から何かの刺激を与えると真の平衡状態に移行する.珪酸塩熔融体が限界の範囲を越えて急冷した場合には,結晶作用は互いに妨げられ,ガラスが形成するようになる[Wahlstrom : 1950].

過飽和

マグマ起源の石英トリディマイトなどの遊離SiO2を含む火成岩に用いる語[Shand : 1913].

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栄養・生化学辞典の解説

過飽和

 ある条件下における溶質の溶解度以上に溶質が溶けている場合の溶液の状態.

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世界大百科事典 第2版の解説

かほうわ【過飽和 supersaturation】

一般に,ある量が飽和状態よりも多く存在する状態をいう。過飽和の状態は不安定(準安定)であり,安定な平衡状態ではない。ある温度やある圧力もとで,ある液体(溶媒)に,ある物質がどれだけ溶けるかに注目したり,また,ある温度のもとで,ある液体の蒸気圧がどれだけかを論ずるとき,それらの物質の飽和の濃度(溶解度)や飽和の圧力(飽和蒸気圧)などといった,ある量(数値)の限度を示す必要が生じてくる。しかし,この限度を示す量が必ずしも最大の値であるとは限らず,一時的に,この限度以上に物質が存在する場合もありうる。

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大辞林 第三版の解説

かほうわ【過飽和】

溶液中に、溶解度以上の溶質が溶けている状態。
蒸気が、飽和蒸気圧以上存在している状態。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

過飽和
かほうわ
supersaturation

気体の圧力、溶液での濃度などが、その温度に相当した飽和値以上になっても、過剰量が別の相として分離していない状態をさす。このような準安定状態になんらかの刺激が加わると、突如として安定状態に移行するので、過剰の液体、または固体の析出がおこり、かなりの熱エネルギーの放出がおこる。実験室などでよくつくられるのはチオ硫酸ナトリウムの過飽和水溶液である。市販のハイポ(チオ硫酸ナトリウムの五水和物)を加熱すると、やがて結晶水の中に溶解してしまい、きわめて濃厚な溶液ができる。これを静かに室温に冷却しても、結晶の析出はない。つまり典型的な過飽和溶液がつくられるのである。これに結晶のかけらを投入すると、これが核となってただちに結晶が生成し、著しい量の熱を発生することがわかる。冷却した空気の中の水蒸気も過飽和になりやすく、高山の樹氷(霧氷)の生成もこれが原因で、樹枝の先端部が氷晶の核となって風上方向に成長がおこる。
 溶液から結晶を生成させるときに、器壁をこすったり振動を与えたりするのは、過飽和となることをできるだけ回避するためである。準安定状態から安定状態へ移行させるための刺激を与えることに相当している。[山崎 昶]

気象

空気中の水蒸気圧が飽和水蒸気圧より大きくなっても凝結をおこさない状態をいう。大気中での凝結と飽和状態との関係は複雑で、未飽和で凝結がおこることもあれば、過飽和でなければ凝結がおこらないこともある。大気中には凝結核となる塵埃(じんあい)や塩類などの微粒子が多く含まれているので、イオンや水分子のみを凝結核とする場合のような著しい過飽和になることはないと考えてよい。[股野宏志]

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