星雲線(読み)セイウンセン(その他表記)nebular line

デジタル大辞泉 「星雲線」の意味・読み・例文・類語

せいうん‐せん【星雲線】

惑星状星雲の光のスペクトルに現れる、酸素窒素原子イオンによる禁制線輝線

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精選版 日本国語大辞典 「星雲線」の意味・読み・例文・類語

せいうん‐せん【星雲線】

  1. 〘 名詞 〙 惑星状星雲などのスペクトルに現われる特殊な輝線。高温で電離状態にある酸素、窒素、硫黄などの原子またはイオンによる禁制線。

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改訂新版 世界大百科事典 「星雲線」の意味・わかりやすい解説

星雲線 (せいうんせん)
nebular line

オリオン星雲のような輝線星雲や惑星状星雲のスペクトルには,水素のバルマー輝線とともに酸素,窒素,硫黄などの原子またはイオンによる禁制線が輝線として現れる。これらの禁制線は星雲スペクトル中に初めて発見されたので一般に星雲線と呼ばれる。狭義にはその中でもっとも顕著な2回電離酸素イオンによる波長4958.95Å,5006.88Åの2本の輝線を星雲線と呼んでいる。おもな禁制線を表に示す。禁制線は放射確率がきわめて小さいために,地上の実験室では検出できないスペクトル線である。星雲のように極度の低密度(電子密度が105個/cm3程度以下)のガスで初めて放射が可能となる。星雲線はかつて未知のスペクトル線として星雲に特有なネブリウムという元素に由来するのではないかと想像されていたが,1928年アメリカのI.S.ボーエンによって初めて禁制線によるものと同定されたのである。
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世界大百科事典(旧版)内の星雲線の言及

【恒星】より

…こと座の環状星雲はその代表例で,赤色超巨星の外包を完全に放出したもので,白色矮星に進む中間の状態にあると考えられている。星雲は中心星からの強い紫外線のため完全電離し,水素のバルマー線や星雲線と呼ばれる酸素の禁制線などの強い輝線で輝いている。赤色超巨星の大気は,力学的に不安定な状態にあり質量放出が盛んである。…

※「星雲線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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