時津宿(読み)とぎつしゆく

日本歴史地名大系 「時津宿」の解説

時津宿
とぎつしゆく

[現在地名]時津町元村郷

時津浦と結ぶ時津街道宿駅。宿内に茶屋が置かれ、諸大名らの休憩所となったため単に茶屋とも称されていた。長崎の馬籠まごめ口より浦上うらかみ(現長崎市)を通り、山坂越えで約五里の行程であり、一方時津浦からは大村または彼杵そのき(現東彼杵町)に船で結ばれた。時津川辺りの往還筋に一里山が置かれていた(慶安二年肥前国道法帳)。一五九六年(慶長元年)日本に寄航したガレオン船サン・フェリペ航海記録(セビリア・インド文書館保管、「長崎市史」)に、彼杵から徒歩で時津Toquechiに到着したとみえる。一六六〇年(万治三年)のオランダ商館長ボウヘリヨン参府諸費計算書(ピーテル・ファンダム編東印度会社記事)に、時津で米一二ガンタンを買入れ、家二軒と灯火、一三里の長崎までの馬一五頭、乗物箪笥の運搬人夫八人などに充てた代金が記されている。元禄四年(一六九一)ケンペル一行は長崎から江戸に向かう途中、時津で持参の冷肉料理で昼食をとったが、酒やまずい食物のために一九両も支払い、また与力の同伴者らに贈物を渡したという(江戸参府旅行日記)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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