時雨西行(読み)しぐれさいぎょう

精選版 日本国語大辞典 「時雨西行」の意味・読み・例文・類語

しぐれさいぎょう しぐれサイギャウ【時雨西行】

長唄。河竹黙阿彌作詞。二世杵屋勝三郎作曲。元治元年(一八六四初演謡曲江口」に題材をとる。西行法師が江口の里で雨宿りして、遊女に化けた普賢菩薩(ふげんぼさつ)を拝するという筋。その前年発表した富本「恋計文珠智恵輪(こいのてくだもんじゅのちえのわ)」の改作

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デジタル大辞泉 「時雨西行」の意味・読み・例文・類語

しぐれさいぎょう〔しぐれサイギヤウ〕【時雨西行】

長唄。河竹黙阿弥作詞、2世杵屋勝三郎作曲。元治元年(1864)初演。謡曲の「江口」に取材したもの。雨宿りした西行が遊女と和歌のやりとりをするうち、遊女は普賢菩薩ふげんぼさつとなる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「時雨西行」の意味・わかりやすい解説

時雨西行
しぐれさいぎょう

長唄(ながうた)の曲名。河竹黙阿弥(もくあみ)作詞、2世杵屋(きねや)勝三郎作曲。1864年(元治1)9月初演。西行法師が江口(えぐち)(大阪市東淀川(ひがしよどがわ)区)の遊女と歌を詠み交わすが、遊女は普賢菩薩(ふげんぼさつ)の化身であったという話を題材にした能『江口』の長唄化である。本来は舞踊を伴わない長唄だけの曲。全体の構成は、西行の道行、遊女との出会いと西行の身の上話、遊女の身の上話、普賢菩薩の現出と4部分に分かれ、それぞれ、謡曲風で荘重な曲調、くせのないさらりと運んだ曲調、詠嘆的な華やかな二上り、大薩摩(おおざつま)とそれに続く三味線技巧を尽くした神秘的かつ荘重な本調子と、趣(おもむき)に変化をもたせている。

[茂手木潔子]

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