文殊(もんじゅ)菩薩とともに大乗仏教の経典において重要な位置を占める菩薩。『華厳経(けごんきょう)』によれば、彼は、(1)諸仏に敬礼し、(2)諸仏を称讃(しょうさん)し、(3)諸仏を供養(くよう)し、(4)自ら過去の罪を懺悔(ざんげ)し、(5)諸仏の功徳(くどく)に心から感謝し、(6)諸仏に説法を請願し、(7)仏が世に永らえることを請願し、(8)つねに仏に従って学び行動し、(9)つねに衆生(しゅじょう)の救済を実現するように願い、(10)自らの功徳をすべて悟りに振り向ける(回向(えこう)する)という十願をたて、これを完全に実行、実現した。この十願は「普賢行願(ぎょうがん)」ともよばれ、自らの悟りと衆生の救済を求める菩薩の理想を示すものとされ、諸経典では、一般の人々もそれを追求するよう勧め、また普賢菩薩の実現した功徳にあずかれると説いている。文殊菩薩が悟りの知性的側面を象徴しているのに対し、普賢菩薩はその実践的側面(普賢行)を象徴し、釈迦仏(しゃかぶつ)の右脇侍(わきじ)として六牙(が)の白象に乗った姿で表現される。
[江島惠教]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 宋代以後の近世社会になると,庶民の経済水準の向上につれて,各地の霊山への巡礼はますます盛んとなった。日本の入唐僧慧萼にまつわる開基縁起をもつ浙江省舟山群島の普陀山が観音菩薩の霊場として聞こえ,文殊信仰の五台山,普賢菩薩をまつる四川省の峨眉(がび)山とともに天下の三大道場と称され,地蔵菩薩信仰の総本山たる安徽省の九華山を加えて四大名山と呼ばれるにいたった。そして九華山などで,巡礼者は寺の発行する路引つまり浄土へのパスポートをもらって帰ったのであった。…
…仏陀の前生物語の一つ,〈ベッサンタラ本生〉では,主人公の王子は雨を呼ぶ白象を隣国の王のまわし者にこわれるまま布施したため,自国は雨が降らず困窮し,ついには国を追われる。また日本にも多くの像が見られる普賢菩薩は6牙の白象に乗った姿であらわされる。【高橋 明】
[西洋]
多種の象がほぼ世界中に生息した2万年前まで,人類は猟獣としてこれを食用にし,洞窟壁画にマンモスなどの姿をかき残した。…
…中国のクムトゥラ石窟,敦煌莫高窟にも白象に乗る普賢の図が描かれている。【定方 晟】
[図像]
《法華経》に普賢菩薩が《法華経》を誦持する行者を守護すると説かれ,また《法華経》が女人往生を説くことから,日本では平安時代にことに女性の信仰を集め,すぐれた美術作品を残した。絵画としては東京国立博物館本,鳥取豊乗寺本などがある。…
※「普賢菩薩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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