景気付(読み)けいきづく

精選版 日本国語大辞典 「景気付」の意味・読み・例文・類語

けいき‐づ・く【景気付】

[1] 〘自カ五(四)〙
景気がよい方に向く。商売などが繁盛しはじめる。
※自然と人生(1900)〈徳富蘆花〉写生帖「叔父は〈略〉唐物店を出して仕合はせに景気(ケイキ)づきますし」
調子がよくなる。勢いづく。
落語・隅田の馴染め(1889)〈三代目三遊亭円遊〉「朝になると景気附いた夢が醒めて、勘定書(かきつけ)が来ると欝悶(ふさい)で仕舞ひます」
[2] 〘他カ下二〙 ⇒けいきづける(景気付)

けいき‐づけ【景気付】

〘名〙
① 景気をつけること。勢いや元気をつけること。
熊手提灯(1899)〈正岡子規〉「昨年来雨に降られた償ひを今日一日に取りかへさうといふ大景気で、その景気づけに高く吊ってある提灯だと分ると」
連歌俳諧で、句の付け方の一つ。眺望風景などの叙景句を付けるもの。

けいき‐づ・ける【景気付】

〘他カ下一〙 けいきづ・く 〘他カ下二〙 景気や元気がよくなるように勢いをつける。
彼女とゴミ箱(1931)〈一瀬直行〉浅草胴体魚類、乾物類、それに鴨や猪をつるし景気付(ケイキヅ)けてゐる」

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世界大百科事典(旧版)内の景気付の言及

【元禄俳諧】より

…江戸元禄期に行われた俳諧・俳風の総称。“心付(こころづけ)”“景気付”を主体とする優美な俳風が基調をなした。それは,談林風の無心異体がゆきづまったとき,それを克服すべく俳壇全体が試行錯誤を繰り返した結果いたり着いた有心(うしん)の正風体で,その意味では,貞門風→談林風→元禄風は俳諧史のたどる必然的なコースだったといえよう。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」