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暗黒小説 あんこくしょうせつroman noir

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

暗黒小説
あんこくしょうせつ
roman noir

一般的には社会の裏面を描いた大衆的な犯罪風俗小説をいう。文学史的には 19世紀なかばのフランスの小説家 E.シューらの小説をさし,『パリの秘密』 (1842) がその代表的作品。バルザックなどのある種の作品にもこの傾向があるといわれる。多くは新聞連載の形で発表されたが,大衆文学の一つの形式となるとともに,のちの探偵小説の発達ともつながり,リアリズムの社会小説を準備する端緒ともなった。

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百科事典マイペディアの解説

暗黒小説【あんこくしょうせつ】

フランス的ハードボイルド小説に与えられた形容であり,ガリマール書店が1945年に刊行を開始した叢書名にちなんだ呼び名。命名者はジャック・プレベールといわれている。

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世界大百科事典内の暗黒小説の言及

【怪奇小説】より

… ゴシック・ロマンス,特に《修道僧》に強い背徳的要素,例えば近親相姦,美女に対する残虐な行為などは,〈サディズム〉という語の源であるサドの暗黒の美学ときわめて近い関係がある。フランスでも18世紀末以来,イギリスのゴシック・ロマンスに相当する〈暗黒小説〉の隆盛を見た。初期のバルザックの作品は,明らかに《放浪者メルモス》(1820)の作者マチューリンの影響下にある。…

【幻想文学】より

…19世紀フランスを代表するリアリズムの大作家バルザックにも《セラフィータ》《サラジーヌ》のような幻想的作品があり,モーパッサンにも怪談《オルラ》がある。これらに先立ち,いわゆるプレ・ロマンティスムの揺籃期にイギリスで生まれて,バルザックらにも強い影響を与えたのがいわゆるゴシック・ロマンスの幻想小説群であって,ウォルポールの《オトラント城奇譚》を出発点とし,ラドクリフの《ユードルフォの怪》,M.G.ルイスの《モンク(修道士)》といった衝撃的な怪奇小説,暗黒小説は,近代の合理主義の前夜に非合理的なるものを荒々しく表現しながら,ロマン的想像力の最もラディカルな発現としての毒を内蔵するものでもあった。サドの一連の高度な哲学的作品も一方ではこれら暗黒小説の系譜に連なるものでもある。…

※「暗黒小説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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