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社会小説 しゃかいしょうせつsocial novel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

社会小説
しゃかいしょうせつ
social novel

社会問題を直接に取上げたり,社会的関心が濃厚に認められる小説のこと。明治 30年代に内田魯庵高山樗牛らが中心となり,「硯友社の狭隘な人情小説」にあきたらず,さらに広い社会的視野に立つ文学活動を提唱したとき,「社会小説」の語が盛んに用いられた。しかし文学運動としては大きな発展をみず,やがて社会主義小説に取って代られた。フランスの英文学者 L.カザミアンの有名な『イギリスの社会小説』 (1903) では,産業革命のあとブルジョア階級の繁栄,その犠牲としての労働者階級貧窮という実情を背景に,まず自由主義,個人主義,功利主義的な立場の作品が生れ,それに対する反動として理想主義的,国家干渉主義的な立場の作品が出現していく過程のなかで,ディケンズ,B.ディズレーリ,E.ギャスケル夫人,C.キングズリーの「社会小説」が体系的に展望されている。

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百科事典マイペディアの解説

社会小説【しゃかいしょうせつ】

社会問題や社会的現実を描いた小説。日清戦争後の明治30年代に,硯友社的な文学にあきたりなかった民友社グループにより提唱され,高山樗牛内田魯庵田岡嶺雲らの間で論議された。

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大辞林 第三版の解説

しゃかいしょうせつ【社会小説】

社会問題を材料または主題とした小説。特に、明治30年前後に現れた一連の小説をいう場合があり、内田魯庵の「くれの廿八日」がその例。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

社会小説
しゃかいしょうせつ

文芸用語。日清(にっしん)戦争(1894~95)後、観念小説や深刻小説が人情、世間の特殊相誇張に傾くのをみて、『国民之友』は1896年(明治29)10月号に「社会小説出版予告」を掲げ、「社会、人間、生活、時勢といへる題目」の創作化による「文壇革新」を唱えた。文壇、論壇の広範な反応を整理して『早稲田(わせだ)文学』が、労働社会、下層社会の真相を写し、広く政治、宗教にわたる大型の社会小説像を描き、金子筑水(ちくすい)の『所謂(いわゆる)社会小説』(1898)がこの論を進めた。内田魯庵(ろあん)の『くれの廿八日』(1898)が社会小説の代表作として迎えられたが、『社会百面相』(1902)の政界風刺は政治家主体批判を欠き、近代政治の核心をつかなかった。金子春夢(しゅんむ)『清水越(しみずごえ)』(1896)も、人間像の不鮮明な大型小説に終わった。社会小説観は小栗風葉(おぐりふうよう)『政駑(せいど)』(1899)、後藤宙外『腐肉団(ふにくだん)』(1899)に継承され、徳冨蘆花(とくとみろか)の『不如帰(ほととぎす)』(1898~99)、『思出の記』(1900~01)、『黒潮』(1902)に総合され、社会主義小説へと展開した。[中村 完]

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世界大百科事典内の社会小説の言及

【フォンターネ】より

…邦訳《罪のかなた》)など,18編の小説を晩年の20年間に集中的に書いた。これらは〈社会小説Gesellschaftsroman〉と称されるもので,貴族社会が内部崩壊し,新興の市民社会の時代へ移りゆく姿が,そのいずれにもくみせぬ冷徹な観察者の目で眺められ,人間の弱さにも理解を持つ真のリアリストの立場から描かれている。そして登場人物の会話を中心に据え,それによってその人物の性格や人生観に至るまで描き込む小説手法は語りの芸術の最高峰とされ,次代のトーマス・マンに継承された。…

※「社会小説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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