チャンドラー(読み)ちゃんどらー(その他表記)Seth Carlo Chandler

デジタル大辞泉 「チャンドラー」の意味・読み・例文・類語

チャンドラー(Raymond Chandler)

[1888~1959]米国の推理小説家。私立探偵マーロウを主人公とする一連の作品でハードボイルド派の代表的存在となった。作「大いなる眠り」「長いお別れ」など。

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精選版 日本国語大辞典 「チャンドラー」の意味・読み・例文・類語

チャンドラー

  1. [ 一 ] ( Seth Carlo Chandler セス=カーロ━ ) アメリカ天文学者浮遊天頂儀の考案、緯度変化の発見などの業績がある。(一八四六‐一九一三
  2. [ 二 ] ( Raymond Chandler レイモンド━ ) アメリカの推理小説家。私立探偵フィリップ=マーロウを主人公とする一連の作品でハードボイルド推理小説の代表的存在となる。「大いなる眠り」「長いお別れ」など。(一八八八‐一九五九

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャンドラー」の意味・わかりやすい解説

チャンドラー(Seth Carlo Chandler)
ちゃんどらー
Seth Carlo Chandler
(1846―1913)

アメリカの天文学者。ボストンに生まれ、1861年生地の高校を卒業後、ただちにグールドBenjamin A. Gould(1824―1896。ダッドリー天文台長)の助手となり、1864年にアメリカ海岸測量局で経度測量に従事した。1881年ハーバード大学天文台員となり、実地天文学の観測に精進、その業績により、1891年デ・パウ大学より学位を得、1895年国立科学アカデミーからワトソン賞を受け、さらに1896年イギリスの王立天文協会から金メダルを授与された。天文通信の改良、浮遊天頂儀の考案、緯度の精密測定、彗星(すいせい)および変光星の観測、恒星目録の調整などの諸業績のなかでも、特長は緯度観測の方法と成果である。自作の浮遊天頂儀を用いて1884年秋から翌年の春にかけて継続観測し、その誤差0.028秒角の精度を吟味して周期427日の緯度変化を発見、その原因が振幅0.3秒角範囲の極運動に基づくことを実証した。

[島村福太郎]


チャンドラー(Raymond Chandler)
ちゃんどらー
Raymond Chandler
(1888―1959)

アメリカの推理作家。ハードボイルド推理小説のエスプリに到達した作家として世評が高い。1933年に最初の作品をパルプ・マガジンに発表し、39年の『大いなる眠り』で高い評価を得たが、探偵フィリップ・マーローはこのときの創造である。54年にエドガー賞を受賞した『長いお別れ』は彼の最高傑作といわれ、その凝縮された描写、皮肉な会話、サスペンスと暴力の漂う雰囲気、構成力のあるプロットなどで都会的文学性を漂わせている。ハリウッドの脚本家として、一時期活躍したこともある。

[梶 龍雄]

『『世界ミステリ全集5 チャンドラー』(1972・早川書房)』『フランク・マクシェイン著、清水俊二訳『レイモンド・チャンドラーの生涯』(1981・早川書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チャンドラー」の意味・わかりやすい解説

チャンドラー
Chandler, Alfred Dupont, Jr.

[生]1918.9.15. デラウェア,ガイエンコート
[没]2007.5.9. マサチューセッツ,ケンブリッジ
アメリカ合衆国の経営史学者。 1940年ハーバード大学卒業後一時海軍に所属,第2次世界大戦後母校に帰り,1952年同大学より博士号取得。 1950年マサチューセッツ工科大学 MITに移り,1960~63年同教授,1963年ジョンズ・ホプキンズ大学教授となり,1971年以降ハーバード大学ビジネス・スクール経営史担当教授。この間,各種諮問委員会,経営史学会,アメリカ歴史学会などの要職も兼務。研究領域はアメリカの企業経営の発達史,経営管理史で,「企業の経営戦略がその組織構造を規定する」という仮説を多くの実例から実証し,高い評価を受けた。主著『経営戦略と組織』 Strategy and Structure: Chapters in the History of the Industrial Enterprise (1962) ,『競争の戦略』 Giant Enterprise: Ford,General Motors and the Automobile Industry (1964) ,"Pierre S. du Pont and the Making of a Modern Corporation" (1971) ,"Shaping the Industrial Century: The Remarkable Story of the Evolution of the Modern Chemical and Pharmaceutical Industries" (2005) など。

チャンドラー
Chandler, Raymond

[生]1888.7.23. イリノイシカゴ
[没]1959.3.26. カリフォルニア,ラホヤ
アメリカ合衆国の推理小説作家。フルネーム Raymond Thornton Chandler。離婚した母に連れられて幼い頃にイギリスに渡り,第1次世界大戦でイギリス軍に加わった。戦後アメリカに戻り石油会社に勤め,40歳代も半ばになってから創作を始めた。出世作『大いなる眠り』The Big Sleep(1939)をはじめ,『さらば愛しき女よ』Farewell, My Lovely(1940),『湖中の女』The Lady in the Lake(1943),『かわいい女』The Little Sister(1949),『長いお別れ』The Long Goodbye(1953)など,いずれも私立探偵フィリップ・マーローの活躍するもので,巧妙な会話,感傷に流されぬ文体により,ダシール・ハメット以後のハード・ボイルド派の代表者とされる。映画の脚本も執筆,代表作にビリー・ワイルダー監督の『深夜の告白』Double Indemnity(1944,ワイルダーと共著)がある。

チャンドラー
Chandler, Zachariah

[生]1813.12.10. ニューハンプシャー,ベッドフォード
[没]1879.11.1.
アメリカの政治家。連邦上院議員 (1857~75,79) 。南北戦争中は共和党急進派として活躍。 1861年軍事行動の活発化を主張するとともに,奴隷解放の実現を政府に迫った。 75~77年 U.グラント政権の内務長官。

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百科事典マイペディア 「チャンドラー」の意味・わかりやすい解説

チャンドラー

米国の推理小説作家。ハードボイルドの創始者の一人。シカゴのクエーカー教徒の家に生まれ,英国で教育を受ける。初め石油事業に専念,45歳から文筆生活に入る。代表作に《大いなる眠り》(1939年),《かわいい女》(1940年)《長いお別れ》(1954年)など。主人公は私立探偵フィリップ・マーロー。
→関連項目アルトマン暗黒小説ギムレット田中小実昌ホークスミッチャム

チャンドラー

現代を代表する米国の経営史家。1962年の著《経営戦略と組織》で,〈組織は戦略にしたがう〉という有名な命題を立て,多角化戦略と事業部制との関係の一般化を試みた。また1977年の《経営者の時代》では,伝統的経済理論のいう〈市場の見えざる手〉ではなく〈マネジメントという目に見える手〉によって経済活動は導かれると主張した。

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改訂新版 世界大百科事典 「チャンドラー」の意味・わかりやすい解説

チャンドラー
Seth Carlo Chandler
生没年:1846-1913

アメリカの天文学者。ボストンに生まれ,1861年高校を卒業後グールドB.A.Gouldの個人助手となって沿岸測地局の経度測定に加わった。後にみずからアルムキャンターという浮遊天頂儀をくふうして緯度観測を行い,91年K.F.キュストナーと相前後して緯度変化を発見し,14ヵ月のチャンドラー周期を検出した。1896-1909年の間グールドの創刊した《The Astronomical Journal》誌の編集に携わった。1895年アメリカの科学アカデミーよりワトソン牌,翌年イギリスの王立天文学会より金牌を受賞した。
執筆者:


チャンドラー
Raymond Chandler
生没年:1888-1959

アメリカの探偵小説作家。シカゴ出身。イギリスで育ち第1次大戦後帰国。40歳を超えてから作家となる。ストイックで行動的な私立探偵フィリップ・マーローPhilip Marloweの活躍する《大いなる眠り》(1939),《プレーバック》(1958)など7編でD.ハメットと並ぶハードボイルド派の巨匠となった。生き生きした人物描写,巧妙な会話により,探偵小説を文学にまで高めた。なお,《単純な殺人芸術》(1950)に彼の探偵小説論が述べられている。
執筆者:

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デジタル大辞泉プラス 「チャンドラー」の解説

チャンドラー

円谷プロダクションによる特撮ドラマシリーズ「ウルトラシリーズ」に登場する怪獣。有翼怪獣。初登場作品は『ウルトラマン』。身長36メートル、体重1万5千トン。多々良島に生息。翼で強風を起こす。

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世界大百科事典(旧版)内のチャンドラーの言及

【推理小説】より

… デュパン以後の素人探偵が,あまりにも人生をゲーム視しすぎ,鼻につくほどの知性やペダンティズムを示すのに不満な現実派は,市井の泥沼で手足を汚すことを迫られる現職警官や素人探偵を主人公に置く。とくに社会不安が深刻になってきた1930年代から,タフな神経と肉体を持つ一匹狼が巨大な社会組織に立ち向かうという,いわゆる〈ハードボイルド〉小説,例えばD.ハメット,E.S.ガードナー(1889‐1970),R.チャンドラー,ロス・マクドナルド(1915‐83)など,アメリカ独特の作家の作品が広く世界中で歓迎され,同傾向の作家が各国に出現した。この種の小説の特色は,感情におぼれない,とくに女性の魅力に動かされない男の強烈な個性と,心理より行動に重点を置く簡潔な口語的文体である。…

※「チャンドラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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