有余涅槃(読み)ウヨネハン

デジタル大辞泉 「有余涅槃」の意味・読み・例文・類語

うよ‐ねはん【有余××槃】

仏語。この世に生きながら得られた悟りの境地小乗の悟り。⇔無余涅槃

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精選版 日本国語大辞典 「有余涅槃」の意味・読み・例文・類語

うよ‐ねはん【有余涅槃】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。小乗仏教では、煩悩(ぼんのう)を断ちつくしても、まだ肉体がよりどころとして残っていることをさし、死によって無余涅槃に至るとし、これを灰身滅智(けしんめっち)という。大乗仏教では、この世の生死の因が尽きることをいい、生死の果てが尽きて、仏の永遠性を得ることを無余涅槃とする。
    1. [初出の実例]「その永劫な有余涅槃に入るまで」(出典:竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生の散歩)
    2. [その他の文献]〔法華経‐信解品〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「有余涅槃」の意味・わかりやすい解説

有余涅槃
うよねはん
sopadhiśeṣa-nirvāṇa

仏教用語。迷いの火を吹消した状態涅槃といい,この世に生存している間に得られる涅槃は,肉体や煩悩の条件を残しているので有余という。 (→無余涅槃 )

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世界大百科事典(旧版)内の有余涅槃の言及

【涅槃】より

…したがって,〈涅槃に入る〉という言葉は死ぬことのほか,悟りに入ることを意味している。死を意味した涅槃が悟りの意味に用いられるようになると,迷いを断って悟りの境地に達しても,肉体が生存している期間を区別する必要があり,これを〈有余涅槃(うよねはん)〉といい,肉体の消滅した以後の状態を〈無余涅槃(むよねはん)〉と呼ぶようになった。釈迦がクシナガラにおいて涅槃に入る(死ぬ)前後の状況を詳しく説いたのが,漢文《長阿含経》中の《遊行(ゆぎよう)経》,およびパーリ語経典中の《大涅槃経Mahāparinibbāna‐suttanta》などである。…

※「有余涅槃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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