有難(読み)アリガタ

  • ありがた・い
  • ありがとう ‥がたう

デジタル大辞泉の解説

《形容詞「ありがたし」の語幹》めったにないこと。また、かたじけないこと。
「をかしうも―の世やとも思ひ居給へり」〈蜻蛉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

(形容詞「ありがたい」の語幹) ありがたいこと。めったにないこと。また、かたじけないこと。
※源氏(1001‐14頃)蜻蛉「をかしうもありがたの世やと思ひゐ給へり」
〘形口〙 ありがた・し 〘形ク〙 (存在することがむずかしいの意)
① 存在がまれである、むずかしい。なかなかありそうにない。めったにない。
※万葉(8C後)一七・四〇一一「夕猟に 千鳥踏み立て 追ふごとに ゆるすことなく 手放(たばな)れも 還来(をち)もか易き これを除(お)きて または安里我多之(アリガタシ)
※枕(10C終)七五「ありがたきもの、舅にほめらるる婿。また、姑に思はるる嫁の君」
② (特に、「ある」が世にある、生きる意の場合) 世に生きることがむずかしい。生活しにくい。生き長らえにくい。
※源氏(1001‐14頃)東屋「世の中は、ありがたく、むつかしげなる物かな」
③ (めったにないくらい)優れている。立派である。
※宇津保(970‐999頃)吹上上「かんなびのくら人の腹なり。いとありがたき君と聞き奉るぞ」
※滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)上「着付が縞縮に紅鳶一つ、〈略〉黒繻子の九寸幅、ありがてへありがてへ」
④ (その事柄、行為などがめったにないことで)またとなく尊い。かたじけない。もったいない。おそれおおい。
※二度本金葉(1124‐25)雑下「ありがたき法をひろめし聖にぞうちみし人も導かれける〈覚雅〉」
※日蓮遺文‐法華題目鈔(1266)「法華経の御名を聞く事はをぼろけにもありがたき事なり」
⑤ (好ましい状態や、人の好意などに出あって、めったにないことと感謝する気持をこめて) 喜びたい気持である。うれしく、喜ばしく思われる。かたじけない。→ありがとう
※史記抄(1477)一五「御免あるはありかたけれども、理には背くほどに」
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)四「思ひがけない御隠居さまの有(アリ)がたい思召」
※安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉初「我々までが喰ふやうになったのは、実にありがたいわけでごス」
[語誌]①から②③④と意味が変化拡大していったが、⑤の意は類義語カタジケナシと関連があり、室町頃は感謝の意はカタジケナイが用いられ、元祿以降アリガタイが優勢になったとされている。
ありがた‐が・る
〘他ラ五(四)〙
ありがた‐げ
〘形動〙
ありがた‐さ
〘名〙
ありがた‐み
〘名〙
(形容詞「ありがたい」の連用形「ありがたく」のウ音便) かたじけない、うれしく思うなど、相手に対する感謝の気持を表わす、挨拶のことば。感動詞的にも用いる。
(イ) 「候」「ござる」「ござります」「存じます」「さん」など、下に敬語を伴う場合。
※大観本謡曲・松風(1423頃)「御志ありがたう候」
※浮世草子・笑談医者気質(1774)四「何方(あなた)のお影にて主人長々の大病本腹仕り、ありがたふ存ます」
※落語・三十石宝の入船(1896)〈四代目橘家円喬〉「寺田屋は私で。大きに有難うさんで」
(ロ) 単独で用いる場合。
※洒落本・北華通情(1794)自序「客を送る仲居は、モシありがたふ、愛郎(いろ)を往(いな)す芸子は、そんならとぬれたり」

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