仲居(読み)ナカイ

デジタル大辞泉 「仲居」の意味・読み・例文・類語

なか‐い〔‐ゐ〕【仲居】

旅館料亭などで客の接待をする女性
近世幕府大奥大名屋敷などに仕える女性の詰めていた部屋。また、そこに詰めた女性。お仲居。御末おすえ
近世、武家商家上女中下女中との中間に使われた女性。中通りの女。
[類語]女中お手伝いさんメード家政婦派出婦ねえや婆やハウスキーパーお三おさんどん仲働き御殿女中侍女

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改訂新版 世界大百科事典 「仲居」の意味・わかりやすい解説

仲居 (なかい)

古くは中居と記されることが多く,その早い用例は《明月記》後鳥羽院宇治御所の記述のうちに見える。仲居は,公家門跡の住宅で主人の居間(常御所,常居所)近くに位置し,主人に奉仕する人たちの控室台所でつくられた料理の中継配膳のための室,あるいは広く家政経理を担当する部門や担当者をも意味した。室町時代の内裏では中居に相当するものを御末(おすえ)と呼んでいた。また近世以降,料理屋などで客の接待をする女中を仲居というようになった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「仲居」の意味・わかりやすい解説

仲居
なかい

料理店などで飲食・遊興の世話をする座敷女中。元来は、宮廷炊事をつとめる下級女官の名であったものが武家や民間にも継承され、茶屋に移って炊事とは無縁の職業となった。紅色の前垂(まえだれ)をつけるので赤前垂と俗称するが、この風俗は宮廷女官以来の伝統である。関西の茶屋の仲居は、単なる給仕人の域を超えて、遊女や芸者の指名をはじめ座敷の差配の実権を握るようになった。

[原島陽一]

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