木こり(読み)きこり

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

木こり
きこり

樵・木伐とも書く。杣山(そまやま)で杣木を伐木し造材する林業労働者で、古くは杣、杣人(そまうど)、杣工(そまたくみ)が兼ねていたが、のちに運材の「日用(ひよう)」と製材の「木挽(こびき)」が分化した。用材の需要が増加した17世紀の江戸初期のこととみられる。さらに伐木・造材の杣も、伐木の杣と造材の小杣に分化するが、伐木の木こりが中心的な作業を担当するものであったことは今日も変わらない。普通は15~20人を1組とする労働組織であり、1人の杣頭(そまがしら)に統率されている。作業現場近くの杣小屋に集団生活をし、受け持ちの伐木・造材作業が終わるまで合宿していた。賃金は能率給であった。木こりには山村農民の兼業者と専業者があったが、後者は旅職人が多かった。木こり作業は伐木と造材とを含んでいた。伐木の用具は、よき(斧)・刃広(はびろ)よきと、山刀があった。また、木こり・杣には独特の習俗があった。江戸中期の18世紀から採取林業から育成林業に転化して今日まで続いている。伐木・造材作業をする者は伐木夫、伐採して木材の搬出作業をする者は筏師(いかだし)や木馬(きんま)ひき夫を含めた集材夫、運材夫といっている。また、造材の普及と伐採技術の機械化によって、山村の農民出身の伐木労働者が多くなってきている。しかし、日本は山岳地の森林なので、機械化には限界があり、伐木・造材のチェーンソー、育林の刈り払い機・植穴掘機のような1人で持てる超小型可搬式機械が多く使われている。

[遠藤元男]

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