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木挽 こびき

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世界大百科事典 第2版の解説

こびき【木挽】

古く杣(そま)(杣人(そまびと∥そまうど))と呼ばれた人たちは,その後技術的に分化して,その伐材にあたるものを先山(さきやま)といい,造材にかかわるものを木挽というようになる。その分化は江戸時代初期から顕著になったといわれている。先山が組織的な活動が多いのにくらべ,木挽はほとんど単独で就労した。彼らは先山の伐採した材木を玉(たま)に切り,さらに板,垂木(たるき)の角材に仕上げることを仕事とした。のこぎりの改良にともなって盛んとなったのであるが,製材所の機械のこぎりの普及とともに衰微した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

木挽
こびき

大鋸(おが)で原木を挽(ひ)き割り、造材にあたる職人。大鋸挽(ひき)ともいう。木材生産における杣(そま)(伐採)、日用(ひよう)(運材)、木挽(造材)という3職の分化はかなり古くからで、木挽は山林から伐採搬出された原木の造材作業にもっぱらあたってきた。都市の木材商の配下に働く木挽職人もかなりあって、その統制にあたる棟梁(とうりょう)のたぐいもあったが、嵩高(かさだか)の原材運搬に利便の乏しかった旧時は、むしろ伐木原地の山村で造材にあたる木挽が多かった。農家の建築用材調製などの依頼を受けながら転々と滞留の場を変えつつ仕事にあたる「渡り職人」の木挽もあり、また用材特産地には、山中の小屋住まいで木挽に専念する者も多かった。これらの木挽たちは、伐採職人のように特異な仲間組織は一般につくらず、個別仕事が通例であったらしい。「木挽唄(うた)」にはそうした山中孤独の作業生活の素朴な感懐を表現するものが多く、その囃子(はやし)文句にも大鋸の音調によるものがみられる。製材には柱材、桁(けた)材の造出もあったが、板材の「挽出し」がむしろ多く、その用具にも二人挽きの大鋸以下多種多様の鋸(のこぎり)型があって、民具としても注目すべき特徴をもっていた。しかし「動力鋸」による機械製材の導入で、伝統の木挽作業はまったく廃絶した。[竹内利美]

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世界大百科事典内の木挽の言及

【大鋸】より

…大鋸の出現は製板および木材加工技術に一大革新をもたらしたが,大型であるため鋸身の製法が難しく,一般に入手困難であったらしい。15世紀ころには,大鋸引,小引(木挽)という材木加工の工匠が現れてくる。16世紀後半になって,刃渡りの短い一人びきの前びき大鋸(別名,木挽鋸)が現れ,明治半ばに製材機械が普及するまで,主要製板用の鋸となった。…

【職業神】より

…それが日本の木地業のはじめだといい,こうした由緒をもって惟喬親王を木地屋の職祖神,轆轤の神としてあがめるようになり,小椋谷は木地屋の本拠として親王をまつる神社や宮寺が建立され,崇敬の中心とされた。猟師,炭焼き,木樵(きこり),木挽(こびき)など山稼ぎ職の信ずる山の神は,農民のいう山と里を去来する山の神と信仰を異にし,山の神は一年中山に鎮まると考え,特殊な形をした木を山の神の木としてとくに神聖視する風がある。 木樵や木挽は山の神をオオイゴと呼んだところから,それに大子,太子の字をあててダイシ,タイシと読まれ,弘法大師や元三(がんざん)大師,智者大師などに付会した話に語り伝えられ,太子様すなわち聖徳太子とも混同して信仰するようになった。…

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