木馬(読み)きうま

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

木馬
きうま

「きんま」ともいう。山林から伐採した木材を運び出すのに用いるそりの一種。丸太を木材の進行方向に直角に敷き並べた木馬道の上を木材を積んで滑らせるもので,かしやまきなどの堅い木材で造る。

木馬
もくば

遊戯器具の一つ。古くは木製であったためこの名があるが,合成樹脂製のものもある。日本では江戸時代武士の家庭で子供に乗馬の訓練を兼ねて遊ばせる馬形をした厚板具があったが,明治に入ってから足の先に車をつけて木馬として売られるようになった。ヨーロッパでは 19世紀初頭,脚部弓形の枠などをつけて前後に揺するものがあり,のちに日本にも入ってきた。動かないもの,揺り動かすもの,車付きのものなどのほか,遊園地などに電動式の回転木馬 (メリーゴーランド) が普及している。

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デジタル大辞泉の解説

き‐うま【木馬】

木材を山中から搬出するための用具。堅い材でそりに似た形に作ったもの。丸太を並べた上を滑走させる。きんま。

きんま【馬】

きうま(木馬)

もく‐ば【木馬】

木で馬の形に作ったもの。子供の遊びなどに用いる。「回転木馬
器械体操に使った用具の一。木材で馬の背形に作ったもの。現在の跳馬に相当。
昔、木製の馬形の背を鋭くとがらせたものに罪人をまたがらせ、両足に石をつり下げて拷問の具としたもの。

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百科事典マイペディアの解説

木馬【きうま】

木馬(きんま)

木馬【きんま】

〈きうま〉とも。雪のない地方の山で使われる木材搬出用のそり。カシ等の硬材で作り,積載量4〜10石(1石は約0.28m3)。盤木を敷き並べた10%前後の勾配をもつ木馬道を1〜2人の木馬夫が牽引(けんいん)と制動の操作を加えながら滑走させる。日本特有のもので,古墳時代にすでに使用が確認されている。その操作には高度の熟練と体力を要する。現在はほとんど用いられない。
→関連項目そり(橇)

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世界大百科事典 第2版の解説

きんま【木馬】

そりの一種。ただし,雪の上ではなく,土の上で用いる。カシ,ミネバリなどの硬材でつくり,形態ははしご状である。キウマなどとも通称され,ほぼ全国的に分布するが,飛驒・信濃などの山岳地帯に濃密である。用途は主に木材の搬出で,そのため大型のものが多く,長さ2~3mに達するものもまれではない。木馬は,必ずキンマミチ,キウマミチなどと呼ばれる専用通路を通すが,ここには鉄道の枕木のように丸太が並べられている。運搬するときは,荷物を積んだ木馬の先端に人が1人立ち,速度や方向などを調節しながら操ってゆく。

もくば【木馬】

木製の馬の玩具。大型のものは子どもが乗って遊ぶ。〈トロイアの木馬〉の伝説があるように古くからあった。ヨーロッパでは19世紀初期に,木馬の脚部に弓形の枠を取りつけ,前後に揺り動かして,これにまたがっている子どもに馬が走っているような感じを与えるロッキング・ホースrocking horse(揺り木馬)がつくられ,流行した。このほか動かないもの,手で揺り動かすもの,車つきで引いて移動させるものなどがある。

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大辞林 第三版の解説

きうま【木馬】

山地で木材運搬に使うそりに似た道具。盤木ばんぎを並べた搬出路を人力で引く。きんま。 「 -曳き」 「 -道」

きんま【木馬】

もくば【木馬】

木で馬の形に作ったもの。子供が乗って遊んだりする。
器械体操に使った道具。現在の跳馬の類。
昔の拷問の道具。背をとがらせた木製馬形の台。この上にまたがらせ、両足におもりをつけて責めた。 「 -責め」 「 -にのせんとする間/十訓 7

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精選版 日本国語大辞典の解説

き‐うま【木馬】

〘名〙
① 乗馬訓練のための木製の馬。もくば。〔ロドリゲス日本大文典(1604‐08)〕
② 拷問具の一つ。四脚の踏み台に似て、上面を山形に作り、その上にまたがらせ、足に石などのおもりをつけて用いる責め道具。もくば。
※浄瑠璃・仏御前扇車(1722)二「何責が可からうな、木馬(キウマ)に乗せうか、水をくれうか」
③ 木材を搬出するための用具。カシ、ミネバリなどの硬材を用いて、橇(そり)に似た形につくったもの。これに木材を積んで、木馬道(きうまみち)の上を集材地へすべりくだる。きんま。
※飢餓海峡(1963)〈水上勉〉五「木樵の歩く道があった。それは、伐採した木を出す時に、木馬(キウマ)を通らせた名ごりであった」

もく‐ば【木馬】

〘名〙
① 木製の馬。昔、乗馬の練習に用いたもの。〔日葡辞書(1603‐04)〕 〔南史‐斉本紀・下・廃帝東昏侯〕
② 鞍(くら)をかける具。木で馬の背の形に作ったもの。鞍掛(くらかけ)
※随筆・貞丈雑記(1784頃)一三「木馬之事古代の書に所見なし慶長以来の物なるべし」
③ 昔の拷問の具。背を鋭くとがらせた木の馬。これに罪人をまたがらせ、両足に石をつり下げた。
※十訓抄(1252)七「人をあざむきすかすは其咎かろからぬ事也とて、雑色所へ下して木馬にのせんとする間」
④ 体操用具の一つ。木材で作った馬の背型の模型。縦または横からかけ寄り、上に手をついて飛び越えたりなどするもの。
※馬上の友(1903)〈国木田独歩〉「中学校の運動場で木馬(モクバ)を飛び越えることに自慢して居た僕も」
⑤ 遊戯具。木または金属で馬の形に作られ、上下に動くようになっている。
※尋常小学読本(1887)〈文部省〉二「吾等の学校には、ひろきうんどうばありて、其中に、木馬とぶらんことあり」

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世界大百科事典内の木馬の言及

【木馬】より

…用途は主に木材の搬出で,そのため大型のものが多く,長さ2~3mに達するものもまれではない。木馬は,必ずキンマミチ,キウマミチなどと呼ばれる専用通路を通すが,ここには鉄道の枕木のように丸太が並べられている。運搬するときは,荷物を積んだ木馬の先端に人が1人立ち,速度や方向などを調節しながら操ってゆく。…

【橇】より

…その他,形状・使用目的によって〈箱橇(はこぞり)〉〈駕籠橇(かごぞり)〉〈腰掛橇(こしかけぞり)〉〈馬橇(ばぞり)〉など種類は多い。泥土上あるいは〈きんま道〉とよぶ傾斜道に使う〈土橇(どぞり)〉〈木馬(きんま)〉と称する一種の橇もある。もっぱら木材,石材などの重量物の運搬に使われるもので,人力あるいは牛馬に引かせるものである。…

【ウマ(馬)】より


[信仰と習俗]
 馬が神聖なものに使用されるという観念から,神霊の乗物としての面が古くからあったことは,日本におけるこの動物に対する考えの一面として注意する必要がある。このため神社に生馬を奉納して飼養し,またその代用に木馬を神前に納め,祭儀に馬をひいて奉仕するといった習俗が広く認められる。生馬や木馬を奉納できぬ階層が板絵を額として納めたのが絵馬の起源であるとの説もある。…

※「木馬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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