日本大百科全書(ニッポニカ) 「木曽観測所」の意味・わかりやすい解説
木曽観測所
きそかんそくじょ
1974年(昭和49)に開設された東京大学東京天文台の観測所。世界第4位である口径105センチメートルのシュミット望遠鏡(シュミット・カメラ)が主要装置。光害を避けて長野県木曽郡の上松(あげまつ)町、三岳(みたけ)村(現、木曽町)、王滝(おうたき)村にまたがる山頂約6ヘクタールに建設された。1988年に東京天文台が東京大学を離れて国立天文台に改組された際に、東京大学に新たに設立された天文学教育研究センターの付属となり東京大学の施設として残った。広い視野(6度四方)を36センチメートル角の大型写真乾板で撮影する観測が特長であったが、1990年代初めに、アメリカのコダック社が大型天体写真乾板の製造を打ち切ったため、CCDカメラによる観測へと変わった。銀河系内の微光天体の探査、銀河と銀河団の研究、ほうき星など太陽系天体の研究などが行われている。また、近年は、「銀河学校」など高校生を中心とする天文学普及のためのアウトリーチ活動にも力を注いでいる。
[岡村定矩]