ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゲンシャー」の意味・わかりやすい解説
ゲンシャー
Genscher, Hans-Dietrich
[没]2016.3.31. ボン近郊
ドイツの政治家。自由民主党 FDP党首(在任 1974~85),1990年の東西ドイツ統一をまたぎ外務大臣(在任 1974~92)を務めた。第2次世界大戦中ドイツ軍に徴兵され,大戦の末期に一時捕虜となった。解放後,ドイツ民主共和国(東ドイツ)に居を定め,ハレ大学とライプチヒ大学で法律と経済学を修業,1949年法律家として活動を始めた。1952年東ドイツからドイツ連邦共和国(西ドイツ)のブレーメンへ亡命,まもなく FDPに入党。1954年弁護士開業。1965年,FDPから連邦議会議員に当選。1968年に FDP副党首,1969年にブラント内閣の内務大臣に就任。1974年5月シュミット内閣で副首相兼外務大臣となった。1974年10月から 1985年2月まで FDP党首を務め,この間 1982年に FDPはドイツ社会民主党 SPDとの連立からキリスト教民主・社会同盟 CDU・CSUとの連立に鞍替えした(→キリスト教民主同盟)。1982年10月第1次コール内閣の外務大臣に就任。ソビエト連邦や東側諸国との関係改善を強く支持し,ソ連のミハエル・ゴルバチョフの大統領就任後はデタントの好機をとらえることを主張,新東方政策を推進した(→東方政策)。1989~90年には東西ドイツ統一に尽力,統一後の新たなコール内閣で初の外務大臣となった。その外交姿勢はゲンシャリズムと呼ばれた。1992年5月,副首相と外務大臣を辞任。1998年政界を引退。引退後は法律のコンサルタントや国際交渉に従事した。
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