改訂新版 世界大百科事典 「木材業」の意味・わかりやすい解説
木材業 (もくざいぎょう)
木材流通を扱う業種をいうが,明確な範囲はない。木材流通関連事業所数は全国で3万2433あり,うち製材工場1万5752,合板工場473,木材市売(いちうり)市場574,木材センター50,木材販売業者1万5584となっている(農林水産省〈木材流通構造調査〉1991年による)が,普通に木材業といわれるのは後の3業種である。製材工場は工業に属するが,販売業務を併営することが多いため木材業に含める場合もある。このうち歴史が古いのは木材販売業者で,仲買(木材の需要者は建築業者,木工業者など特定のもので,まとまった量の取引になるので,その小売業者を仲買と呼ぶ),問屋(木材卸売業)は,江戸,大坂市場などで江戸時代から木材流通を担当していた。木材市売市場,木材センターは,問屋機能が衰えた第2次大戦後に発展した。売手と買手がせり売りや入札により取引を行うのが市売市場で,原木市売と製品市売の2種がある。また市場経営者がみずから材を集めて販売する単式市場と,市場経営者が市売問屋に市売する場を提供する複式市場とがある。木材センターは,複数の問屋がセンター経営者の事業所で木材卸売業を営む形態である。
→木材市場
執筆者:筒井 迪夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報