日本大百科全書(ニッポニカ) 「木靴の樹」の意味・わかりやすい解説
木靴の樹
きぐつのき
L'albero degli zoccholi
1978年製作のイタリア映画。エルマンノ・オルミ監督の代表作で、カンヌ国際映画祭グランプリに輝いた。舞台は19世紀末、北イタリアのベルガモ。教会の司祭から子どもを小学校にあげることを諭されたバティスティ一家が、通学用の木靴を用意するために、地主の立木を無断で伐採したことから土地を追われるまでの顛末(てんまつ)を主軸にして、季節の移り変わりのなかで4軒の小作農の暮らしぶりが詳細に綴られる。脚本、撮影、編集を兼任したオルミは、職業俳優を一切排して、ロンバルディア地方の農民を起用、劇中でも方言をそのまま話させるなど、ドキュメンタリー映画を思わせるリアリズムに徹して描いた。イタリア国営放送(RAI)がテレビ用映画として製作したものだが、劇場でも一般公開された。
[西村安弘]
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