李季(読み)りき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「李季」の意味・わかりやすい解説

李季
りき / リーチー
(1922―1980)

中国の詩人本名李振鵬(りしんほう)。河南省唐河県出身。1938年洛川(らくせん)の抗日軍政大学分校に学ぶ。のち太行(たいこう)山で部隊の政治指導員を務め、42年陝甘寧(せんかんねい)辺区の北西部で小学校教員などを経、48年延安の『群衆日報』副刊編集。解放後武漢の『長江文芸』編集長となる。52年玉門油田勤務。文化大革命批判後『詩刊』『人民文学』編集長。詩集菊花(きくか)石』(1951)、『生活の歌』(1955)、『楊高伝』(1960)、『忘れられない春』(1959)など。とくに長編叙事詩『王貴と李香香』(1946)は、若い男女の結婚を通して時の流れに従って移行する集団社会の変革主題としているが、陝北民謡という民間形式を採用して成功した作品である。

秋吉久紀夫]

『秋吉久紀夫編訳『中国現代詩集』(1962・飯塚書店)』『秋吉久紀夫著『華北根拠地の文学運動』(1976・評論社)』『秋吉久紀夫著『近代中国文学運動の研究』(1979・九州大学出版会)』

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改訂新版 世界大百科事典 「李季」の意味・わかりやすい解説

李季 (りき)
Lǐ Jì
生没年:1922-80

中国,現代の詩人。本名李振鵬。河南省唐河県の人。中学を中退し,1938年延安の抗日軍政大学に学ぶ。その後太行山地区の八路軍の政治指導員を経,47年まで陝西省北部で,教育宣伝関係を担当。当時発表した《王貴と李香香》は,民謡形式の長編叙事詩として,そのドラマティックな内容とともに,中国現代文学史上に明記される。文化大革命後,《詩刊》《人民文学》主編となり,他の詩集に《菊花石》《生活の歌》がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「李季」の意味・わかりやすい解説

李季
りき
Li Ji

[生]1922.8.16. 河南
[没]1980.3.8. 北京
中国の詩人。本名,李振鵬。魯迅芸術学院に学び,陝西で政治工作に従事。その地方の民謡の形式をかりて,土地改革をうたった長編叙事詩『王貴と李香香』 (1945) を発表して一躍名声を博した。解放後も『生活之歌』 (55) ,『楊高伝』 (58) などを発表して活躍。『詩刊』編集長をつとめながら,石油労働者をうたった長編詩『石油兄さん』 (77) などを発表した。

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世界大百科事典(旧版)内の李季の言及

【中国文学】より

…作家たちはこの方向に沿って農村に根を下ろし,〈自己改造〉に努めたが,やがて趙樹理の短編《小二黒の結婚》や《李有才の語りもの》(ともに1943),歌劇《白毛女》(集団創作。1944),李季の長詩《王貴と李香香》など,民話や民謡,語り物などと結びついた作品が生まれ,《文芸講話》に内実を与えた。さらに,30年代からの既成の作家の仕事としては,華北の農村の土地革命の過程を近代小説の手法で描いた丁玲の長編《太陽は桑乾河を照らす》(1948)が突出した傑作で,のちにスターリン文学賞を受賞した(1951)。…

※「李季」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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