菊花石(読み)キクカセキ

デジタル大辞泉 「菊花石」の意味・読み・例文・類語

きくか‐せき〔キククワ‐〕【菊花石】

緑・赤・紫色の地に白色紅色菊紋のような模様のある、観賞用の石(水石)の名。輝緑凝灰岩の中に角閃石かくせんせき結晶放射状に成長したもの。岐阜県本巣もとす市産。きっかせき。

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精選版 日本国語大辞典 「菊花石」の意味・読み・例文・類語

きっか‐せきキククヮ‥【菊花石】

  1. 〘 名詞 〙 暗緑色や赤紫色の地に、白色あるいは淡紅色の菊の花に似た模様のある石。玄武岩質の岩石中に、方解石などが放射状に結晶したもの。水石や飾り石に用いられる。岐阜県本巣市のものは天然記念物

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「菊花石」の意味・わかりやすい解説

菊花石
きっかせき

代表的な花紋石の一つ。岐阜県本巣(もとす)市根尾松田に産する。母岩は輝緑凝灰岩で、これに含有される方解石、石英などが放射状結晶体となって表れ、あたかも石面菊花が開いたようにみえる。白花が多いが、赤花もあり、いずれも華麗である。また、花の大小、その位置もさまざまで、観賞価値が高い。水石としての歴史もかなり古いが、昭和10年代からとくに人気が出た。1952年(昭和27)特別天然記念物指定

[村田圭司]


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改訂新版 世界大百科事典 「菊花石」の意味・わかりやすい解説

菊花石 (きっかせき)

水石や飾石として珍重される石で,緑,紫,赤褐色などの地に,白あるいは紅色の菊花の花弁状の模様が点在する。地となる岩石は輝緑岩あるいは輝緑凝灰岩。模様は,岩石が固まるときに生じた割れ目に岩石中の炭酸石灰が沈殿して方解石やアラゴナイトなどの結晶ができ,さらにこれらの結晶が岩石中の成分と交代し,石英やドロマイトなどの結晶に変化したものと考えられている。結晶が小さく斑状にちらばったり脈状になったものを梅花石,梅林石と呼び珍重することがある。菊花石のうち岐阜県本巣市の旧根尾村に産するものは特に有名で,1952年特別天然記念物に指定。
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百科事典マイペディア 「菊花石」の意味・わかりやすい解説

菊花石【きっかせき】

菊の花弁状の紋理をもつ石。輝緑(きりょく)岩または輝緑凝灰岩の中に,放射状に集合した方解石アラレ石の結晶が分解したのち,石英ドロマイトがそのすき間をうずめて仮像をつくったものとみられ,水石などに珍重される。岐阜県本巣市のものは特別天然記念物。

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世界大百科事典(旧版)内の菊花石の言及

【擬化石】より

…また亀甲石と呼ばれるものは,特定の形をした節理にもとづく表面の模様が亀の甲に似ている泥灰岩(マール)などである場合が多い。菊花石と呼ばれる奇石の一種には,形が菊の花に似ており,なんらかの化石の断面を想像させるものがあるが,これはアラゴナイト(アラレ石)という鉱物が放射状に集合したもので化石とは無関係である。また化石とはまったく関係がなく,擬化石とも言えないもので,広い意味で化石の言葉を使っているものに,波の化石(痕(れんこん)),雨の化石(雨痕),雷の化石(雷管石),地震の化石(砂岩岩脈)などがある。…

※「菊花石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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