東京地下鉄争議(読み)とうきょうちかてつそうぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「東京地下鉄争議」の意味・わかりやすい解説

東京地下鉄争議
とうきょうちかてつそうぎ

1932年(昭和7)3月、満州事変に召集された従業員の首切り反対から起こった争議。「もぐら争議」として有名。3月20日、日本労働組合全国協議会(全協)の指導で、労働者側は抜き打ち的にストに突入、〔1〕出征中の給料全額支給、〔2〕主要駅に便所をつくれ、など27項目の要求を突きつけた。労働者側はあらかじめ用意した食糧とともに車庫に立てこもり、車両を連結して、ワイヤレールに縛り付けたうえ、周りに電流を通じた鉄条網を巡らし、万全のスト体制をとった。このため会社側は手出しができず、警視庁調停に入った。23日夜半、要求の一部を入れて妥結、労働者側のいちおうの勝利で解決した。

[渡辺悦次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android